サリバンと孫02
昼食を終え、食後の魔茶を飲みながらまったりしていると、ふとその空席が目に留まった。
(…そう言えばおじいちゃん、結局最後まで来なかったなぁ…)
折角の休日だというのに、何よりも孫達を優先させるあの祖父が一度も顔を出さないとは、よほど仕事が忙しかったりするのだろうか?
なんて少し心配になった入間だったが、「仕事」という言葉に、つい先日自身が通う悪魔学園バビルスにて執り行われた緊急アンケートを思い出していた。
『白兎くんのウエディングドレスは黒と白、どっちがいいと思う??』
「…………」
ちなみに風の噂によると、現在6:4で白が優勢とのこと。
ただし、回答率は140%とどことなく不正の香りがするのだが、入間はあえてツッコまない。
他にも色々とツッコミどころはあるが、実は入間自身もこっそり白に投票しているため、ツッコむことが出来なかった。
「んっ!おごちそーさまでしたっ!」
そんな複雑な兄の心境にも気付くことなく、入間より少し遅れて食べ終えた白兎。
そこへどこからともなく現れたオペラが白兎の口元を拭う姿を見て、入間はすぐさま思考を切り替えた。
「白兎くん。今日はおじいちゃん忙しいみたいだから、お兄ちゃんと遊ぼうか?」
「う?うぅん、今日はねー…」
「白兎様。本日のお召し物はお部屋の方にご用意してあります。」
「あ。ありがとう!オペラさん!
「あれ?白兎くん、どこか行くの?」
「うん!デート!」
そしてニコニコと元気良く返された返事につられ、ついニコニコと微笑んでしまった入間。
「そっか、デートかぁ…気を付けてね?」
「うん!」
が。
(そっか、そっか、白兎くんは今日デートかぁ………)
「……デート?」
デート、って何だっけ?
一瞬その意味について考え込んだ入間が、ハッ!と我に返る。
気付けば白兎の姿はもうどこにもない。
そしてギギギッと軋む音を立てながら振り向けば、オペラが相変わらずの無表情でゆっくりと頷いてみせた。
「はい、デートです。」
「おそくなってごめんね、おじいちゃん!待った?」
「うぅん、ぜぇんぜん!待ってないよぉ!」
パタパタと駆け寄って来た白兎を、デレデレの笑顔で迎えるサリバン。
そして「いえーい」と何故か交わされるハイタッチ。
そんな二人の様子を物陰から見守っていた入間は、そっと安堵の吐息を漏らした。
「なぁんだ…デートって、相手はおじいちゃんかぁ…」
冷静に考えてみれば、それ以外の選択肢など有り得なかったが、万が一のこともある。
その場合、恐らくは今頃、他ならぬ祖父の手によって地獄絵図が目の前に広がっていたに違いない。
「そもそもここは魔界ですが。」
(!?心読まれた…!?)
「それで入間様、これからどうなさいますか?最後までご覧になられますか?」
「え?あ、うーん…?」
白兎の『デート発言』に驚いてここまで来てしまった訳だが、その目的は果たされた。
これ以上ここに留まるのは野暮というものだろう。
(それにあれって、いつもの散歩とあんまり変わらない気が……)
入間の視線の先で、白兎がサリバンの手を引き、どこかへと歩き出す。
その後ろ姿はどちらもとても楽しそうだ。
「……まぁ、本人達がそれでいいのならいい、のかな?」
そう自分自身に言い聞かせるようにしながら、入間はオペラを伴って屋敷へと引き返したのだった。
パパラッチの配備は完璧
(ちなみに理事長は「待っていない」とおっしゃられましたが、約三時間程前から待機されていました。)
(あぁ、だから昼食の席にいなかっ……さ、さんじかん…?)
(三時間です。)
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十周年企画より。
企画へのご参加ありがとうございました!
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嘘つき、ロンリー。