【ゲーム(強制)スタート】04
毎年歌詞が違うという、組分け帽子の歌を聴くのも今年で三度目。
ついに、この時がやって来た。
「ポッター・ハリー!」
その名前が読み上げられた瞬間、しんと静まり返る大広間。
が、それもほんの一瞬のことで、すぐさまそこかしこから囁き合う声が聞こえてくる。
「ハリー・ポッター?って、もしかして、あの?」
「え、うそ!本当に…?」
同姓同名を疑うには、それはあまりに有名すぎるものだった。
そして壇上に上がったその姿を一目見ようしたのか、後方の数人が立ち上り、さらにその後方から不満の声が上がる。
そんな彼ら彼女らには悪いが、俺の位置からは特に何もしなくても上手い具合にそれが見えた。
(おぉ…あれが……)
何だか、思ったより小さくて細い。
あれで本当に『例のあの人』に立ち向かえるのかと不安になるものの、よく考えてみれば俺が最後に見た『ハリー・ポッター』は確か四年生で、今の俺より年上だった。
だから余計にそう見えるだけなのかもしれない。
「どこの寮だろう?」
(どこも何も、『ハリー・ポッター』はグリフィンドールに決まって……いや、待てよ…?)
ぽつりと誰かが呟いた言葉に、ふと今更ながらとある考えに思い至る。
全てが全て、あの『物語』の通りになるとは限らないのではないか、と。
(……そもそも「俺」がここに存在する時点で『物語』からは外れているし…可能性は全くない、とは言い切れない。)
俺が何もしなくてもセドリックが助かる可能性もある、かもしれない。
(……スリザリン、じゃ『闇の帝王』と敵対関係にはならないよな。出来れば最後はハッピーエンドがいいし。)
(ハッフルパフ……はむしろセドリックの死亡率が上がりそうで怖い。というか俺自身も死亡フラグが立ちそうで怖い。)
(となると、後はレイブン)
「……白兎、」
「グリフィンドール!」
ワァッと上がった歓声に、僕の声は完全に掻き消されてしまったと思った。
隣に座る白兎の耳にも届かなかったと、そう思った。
「セドリック?」
「え、」
「今、俺のこと呼んだだろ?」
だから白兎が振り向いた時は本当に驚いて、自分が一体何を話そうとしていたのか、すっかり忘れてしまった。
慌てて何か別の話題を探そうとすれば、ふとグリフィンドールの席へと向かうその姿が視界に入る。
「何だか、熱心に見つめていたみたいだね。」
「え?…あぁ、ハリー・ポッター。いや、意外と普通なんだなって思って。」
僕の視線を辿った白兎は、だけどそれだけですぐに僕の方へと向き直る。
誰もが『生き残った男の子』に注目する中、白兎は僕だけを見つめて、
「お前の方がかっこいいよ。」
一瞬、騒がしいはずの周囲の声が聞こえなくなった。
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(ここで一旦、休憩を挟みましょう。)
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嘘つき、ロンリー。