【一人、二人、三人。】07


「瀧、ちょっと消しゴム貸して。」

「あ、」


「良い」とも「駄目だ」とも言えないまま、机の上から消しゴムが消えた。

顔を上げると、いつの間にか傍に来ていた高木が俺の手元を覗き込んでいて、前の席では司が何かごそごそやっている。


どうやら消しゴムの誘拐犯は司らしい。

多分、提出前のプリントか何かを修正しているんだろう。


「へぇ、瀧にしては珍しいのを読んでるな。」

「……そうか?」


しみじみとした言葉と視線から、さりげなく隠すように雑誌を閉じて机の中に仕舞う。

それでもまだ何となく居心地の悪さを感じて、まるで言い訳するように口を開いた。


「知り合いの、兄貴が読んでたから…ちょっとどんなもんかと思ってさ。」

「あぁ、何か分かる。年上ってだけで、妙に格好良く見えたりするんだよな。」

「格好良い?」


ふと思い浮かべた、白兎さんの姿。


数学の教科書と格闘していたり。

四葉とじゃれあっていたり。

風呂上がり、だったり。


それは格好良いというより、どちらかといえば可愛い感じがー…




『…まぁ、何かあったら言いないや。』




(あ、でも確かにちょっと…)


「……格好良い、よな…」


ぼそりと漏らした言葉を耳聡く拾い上げたのか、司がニヤニヤと振り返った。


「なるほど、瀧くんはその人に憧れちゃってるわけだ。」

「、別に、そんなんじゃ」


そしてその瞬間、一つの謎が解けた気がした。


(あぁ…だから三葉のやつ…)



『大丈夫!私が協力してあげるからね!』





『彼女』について

(気付いたことが、一つ)

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嘘つき、ロンリー。