【あいさつをしよう。】02
「えっと…大丈夫?」
庭に水をまいて、その道具を片付けようと物置に向かう途中。
通りかかった縁側で、何となくぐったりとしている白兎を見つけて、あわてて声をかけた。
「だいじょーぶ、だよ。」
そう白兎は言ったけれど、おれにはあまり大丈夫そうには見えなかった。
それに、いつも一緒にいる侘助もいない。
だからおれは侘助が戻ってくるまで白兎のそばにいようと思い、バケツとひしゃくを足下に置いてそのとなりに座った。
「リイチくん?」
「暑いね。」
「え、あ、うん、そうだね…?」
「侘助は?一緒じゃないの?」
「水、持ってくるって…だからおれ、ここで待ってるんだ。」
白兎と侘助は最近うちにやって来た、双子の兄弟だ。
詳しいことはよく分からないけど、『親戚』だと言っていたから、同い年だし仲良く出来たらいいなと思っていた。
だけど、どうやら自分は侘助に嫌われているらしく、近付こうとすればするほどいつも逃げられてしまう。
白兎も、一緒に。
(…こんなに近くで見るのは初めてかもしれない。)
侘助と、あんまり似てないな。
なんて白兎の横顔を見ながら、前にだれかが教えてくれた『にらんせい』という言葉を思い出した。
それを白兎に教えたら、「よく知ってるね」と言って笑ってくれたりしないだろうか。
『ごめんね、リイチくん。』
「おい!」
怒った声と一緒に、バタバタと聞こえてきた足音。
「あ、わびすけだ」と白兎が立ち上がる。
もう少し一緒にいたかったなと、ぼんやりその後ろ姿を見上げていたら、
「リイチくん。」
「ん?」
「心配してくれて、ありがとう。」
振り向いた白兎はいつもの困ったような顔ではなく、小さくだけどたしかに笑っていた。
(…明日から、もっと話しかけてみようかな。)
ひるのあいさつ
(白兎、今日は具合どう?)
(元気だよ、ありがとう。)
*前次#
戻る
嘘つき、ロンリー。