【あいさつをしよう。】03
「おまえ、じゃま。」
わびすけ、わびすけ、と白兎が何度もおれの名前を呼ぶ。
だけど、おれはずっと聞こえないふりして、ただその手を引きながら歩き続けた。
とにかく少しでも遠くに行きたくて、とにかく急いでいた。
「なぁって、わびすっ、ゲホッゲホッ!」
「!だい」
「大丈夫?」
白兎のせきが聞こえて、思わずハッとする。
あわてて足を止めて振り返ったら、いつの間にかリイチが追いついていて、おれより先に白兎に声をかけてしまった。
さらに手まで伸ばそうとするのが見えて、思いっきりそれをはらいのける。
「大丈夫か?」
「う、うん…」
「侘助、もう少しゆっくり歩いた方が」
「っ、うるせぇな!」
そんなこと、お前に言われなくても分かってる!
そう言ってやりたかったが、また白兎がせきをしだしたから、その背中をさするのに必死だった。
(大体、リイチのやつが悪いんだ。)
最近、よくおれ達の近くをうろつくようになった。
それだけならまだしも、なれなれしく話しかけてくることさえある。
おれはそれが嫌で、だから白兎を連れて家を出たのに、リイチがついて来ていたら意味がなかった。
(それに、『おれ達について来た』っていうよりも……)
「もういいよ、わびすけ。ありがと。」
ようやく落ち着いたのか、白兎が笑うのを見てその手を止めた。
ついでに、何か嫌なことを思いつきそうになった頭も止める。
リイチのことなんて、考えてもイライラするだけだ。
とりあえず「もうついてくんなよ!」とだけ言って、また白兎の手を引いて歩き出そうとしたら、困った顔をして白兎は首をかしげた。
「わびすけ、そんなこと言っちゃだめだよ?仲良くしよう?」
おれの胸がチクッと痛む。
あぁ、本当に困っているんだなって、嫌でもそれがよく分かって、小さくうなってしまった。
「……分かったよ。」
そうおれが答えれば、ホッとしたような白兎。
リイチの方は…よく分からない。
ただ白兎の方をじっと見ていて、
(…おもしろくねぇ…)
「じゃあ、仲直りのあくしゅをしよう!」
白兎の提案に、リイチは素直にその右手をおれに差し出した。
おれも、期待のこもった白兎の目にしぶしぶ右手をリイチの方へ差し出して、
差し出そうとして、そのまま白兎の手をつかんで走り出した。
ゆうがたのあいさつ
(あ、)
(じゃーなっ!リイチ!)
(ちょ、わ、わびすけ!?)
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嘘つき、ロンリー。