【先達はかく語りき】02


「なぁ、もしかしてわびすけと仲わりーの?」

「どうして?」

「いや、なんて言うか、いっしょにいると…うーん、なんて言うんだろ…なんか、そんな感じがする?」

「気のせい、じゃないかな。」

「そうかぁ?」










侘助は、正直に言ってあまり顔を合わせたくない相手だ。


それでも白兎との付き合いを止めようとしなかったのは、単純に白兎の傍は居心地が良かったから。

それを侘助に無条件で譲るのかと思うと、幼いながらに腹が立ったのをよく覚えている。


多分、向こうも似たようなことを思っていたに違いない。



「侘助は今日、先に帰るって。」


だからそれを聞いた瞬間、侘助の不機嫌そうな顔が容易に想像出来て苦笑してしまった。

すると、つられたのか、白兎が笑う。


「珍しいよな。いつもなら、俺達が何言ってもなかなか帰ろうとしねぇのに。」

「あぁ、今日は朝から『早く帰って来るように』って念を押されていたみたいだから。」

「あ、それってあれだろ?侘助が唯一逆らえないっていう、恐いばあちゃん。」

「…侘助に、聞いたのか?」


そして一体、どこまで聞いているのか。

やや詰まりそうになりながら問い返せば、白兎は大して気にする様子もなく、ただ微笑ましそうに目を細めただけだった。


「あいつ、ああ見えて何気にばあちゃんっ子だよな。」


俺達をただの『親戚』だと信じて疑わない口ぶりに、そっと安堵の息を吐いた。


白兎はまだ、何も知らない。

知ったところで態度を変えるとも思わないが、それでもやはり、



「そう言えば、そろそろテストがあるな。」

「…嫌なことを思い出させるなよ。」



知る必要のない話だと、そう思った。







自分の秘密を黙っていれば、秘密は自分の捕虜である。秘密を洩らせば、私が秘密の捕虜になる。 「アラビア格言」

(口にせずとも結局は捕らわれる)

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嘘つき、ロンリー。