【seven】05


「ほら、」と文字通り背中を押してようやく、白兎はその口を開いた。


「不破…白兎…です。」


口先を若干尖らせ、その顔にはありありと不満が浮かべられている。

それに気付いていないのか、あえて気付いていないフリをしているのか、応える女達の声は飴のように甘い。


「ホントにマヒロくんの弟ぉ?」

「似てなぁい!カワイイ!」

「よろしくねぇ、白兎くぅん!」


そして白兎の表情がますます曇るのが分かり、俺は思わず笑ってしまった。


「…俺、帰っていい?」

「駄目に決まってんだろ。」


助けを求めるような視線を向けられるも、当然却下。

そのやりとりにまた「やだ、照れてるのぉ?」「カーワイっ!」と声が上がる。


舌打ちが聞こえた。


「諦めろ、白兎。」

「…くそ兄貴。」

「あぁ?」

「絶対、姉ちゃんにチクってやる。」

「……何でそこで愛花が出てくんだよ。」


意味が分からねぇ。

それはどういう負け惜しみだ?

そう言葉を続ければ、白兎はしばらく物言いたげに俺を見つめた後、


「…まぁ、別にいいけど。」


溜息一つ吐いて、説明するのを諦めた。

何か引っ掛かる態度だったが、まぁいい。

これから女と遊ぶというのに、『妹』の話で揉めても白けるだけだ。


そして「人数合わせなら吉野さんを呼べばいいのに…」とぽつりと呟いた白兎に、それもそうだなと俺は携帯を取り出した。






【色欲】

(それは、苦痛。)

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嘘つき、ロンリー。