【kiss-er】02
「次は絶対勝つからな…精々、首洗って待ってろよ。」
精一杯の虚勢。
それすらも見透かして、王は微笑んだ。
「楽しみにしているよ。」
「白兎さーん、お酒ねぇのー?」
「ねぇよ。」
間髪容れずに否定すれば、倍以上になって返ってきたブーイング。
構わずジュースの空き瓶を回収していると、調子に乗った奴らは音量を上げた。
これでまた近所から苦情が来るかと思うとうんざりする。
「ここは喫茶店だって、何度も言ってんだろ。」
「いやいやいやいや、店の名前が良くないんですって。」
「ぜってー誰もサテンなんて思わねーから!」
「別に俺が付けた訳じゃねぇし、文句があるなら先代に…あ。」
ふと視界の端にいた人物がスツールから腰を上げるのが見えた。
空き瓶を近くの後輩に押し付け、そちらへと足を向ける。
「すみませんね、騒がしくて。」
「いや、楽しそうでいいと思うよ。」
ごちそうさま。
そう差し出されたお札を受け取ろうとすれば、そのまま手を両手で包み込まれた。
先日のやり取りが脳裏を過ぎる。
「、あの」
「良かったら僕にも敬語なしでお願い出来ないかな。」
「え?」
「以前のように、さ。」
『やぁ、白兎くん。いい夜だね。』
『あ?なれなれしく話しかけんじゃねぇよ。』
「アレ、は若気の至りってヤツで…」
王サマにタメ口なんて恐れ多い。
なんて主張してみたものの、俺の手は拘束されたままだ。
しかも何やら期待の込められた瞳で見つめられている。
それがあまりにも居心地悪くて、視線を逸らしていると、
「君と僕の仲だろう?」
何かが額に触れた。
額なら友情
「考えておいてくれると嬉しいな。」
俺の戸惑いを見透かして、王サマは微笑む。
(貴方様と肩を並べるなんて、恐れ多い!)
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嘘つき、ロンリー。