【しのびのこども】02


※二年と赤羽主(バランサ)。










渡り廊下を歩く途中、物陰に潜むその小さな姿に最初に気付いたのは左近だった。


隠れ鬼でもしているのだろうか?

だが、忍びの「たまご」にしてはあまりにも不様な隠れ方だ。


と思わず隣を歩いていた三郎次を見やれば、どうやらそちらも気付いたらしい。


そうして無言で頷き合った二人は、同じ結論に行き着いていた。

ここは一つ先輩として注意してやろう、と。


まったく世話の焼ける後輩だなんて悪態吐きつつも、ついつい笑みを浮かべてしまったのには特に他意はない。

少し揶揄ってやろうだなんてそんなこと、微塵も考えてなんて、いない。



「へっ?あ、こ、こんにちは?池田三郎次先輩。川西左近先輩。今日はいいお天気ですね―…


え?あ、いや。これは別に遊んでいるわけじゃないんです。

ただの条件反射というか何というか、咄嗟のことで他に隠れようがなくて……


……誰にも、言いませんか?


えっと、その…くのいち教室の子達です。さっき、そこを数人で歩いていて…あ、いえ。彼女達がどうのというわけじゃなくて、女性が、特に年上の方が少し苦手なんです。


…飛騨忍群、なんて言ってもご存知ないですよね。白羽、黒羽、赤羽の三衆があって、私はそこの赤羽の生まれなんです。


少し特殊な血筋でほとんど女児しか生まれないんですが、時々私のように男児が生まれることもあって…その場合、すぐ白羽へ里子に出されるんです。


…でも、私の時は色々手違いがあったらしくて。結局ここ忍術学園に来るまで、赤羽の中で育てられてきました。勿論、周りは女性ばかりでした。


いえ、皆さん、いい人達でしたよ。私のことを本当の弟のように可愛がってくださって…ただ、その…可愛がり方が色々とアレだったというか……『弟扱い』というのもなかなかの曲者だったというか………そのせいで年上の女性が苦手なんです。


…え?具体的に何をされたか?」


そして白兎は一瞬迷いを見せた後、「聞いたら後悔するかもしれませんが、よろしいですか?」と少し申し訳なさそうな顔をして話を続けるのだった。




刃物鈍らせるもの

(それからというもの、白兎に対する二年生らの態度が妙に優しくなったと評判に)

*前次#


戻る

嘘つき、ロンリー。