【誰かの好意を踏みにじってしまいました。文字通り。】06
仲良さげに話す二人の姿に、そろそろ俺もお役御免かなぁ…なんてニヤニヤ笑っていた矢先のことだった。
「ちょっ、岩ちゃんんんんっ!?」
「んだよ、及川…」
人気のない場所を見付けてようやく掴んでいた腕を放せば、うんざりした様子の…というより少し怒っている様子の岩ちゃん。
いや、何も言わず白兎を教室に置いてきたことが気になるのは分かるよ?分かるけれど!
「岩ちゃん、まだ白兎に言ってなかったの!?」
「言う?何を?」
「あぁ、もう!デートに誘うくらいだから、てっきり言ったんだとばかり思ってたのに…!」
「ばっ…デ、デートじゃねぇよ!」
「どの口がそれ言うの!?」
顔、真っ赤だよ!?と指摘すれば自覚があるらしく、岩ちゃんはぐっと言葉に詰まった。
と、いつもならここでからかうなり何なりして追い撃ちを掛けるところなんだけど、流石に今はそんな気分にはなれない。
代わりに一呼吸置いて、「そうだよねぇ、デートじゃないよねぇ」と少し苛立たしげに続ければ、岩ちゃんはますます訝しげに眉を顰め、
「だって二人、別に付き合ってる訳じゃないもんねぇ?」
そして完全に黙り込んでしまった。
あの時、手紙の返事を先伸ばしにさせたのは確かに俺だ。
でも、だからと言って二人の交際に反対という訳じゃない。
むしろ、ついに岩ちゃんにも春が!赤飯炊かなきゃ!ってぐらいの勢いだった。
男同士?いいんじゃない、別に。そんなこと。
そりゃあ最初はイタズラか罰ゲームかなって疑ってたけど、白兎の様子を見れば違うことはすぐに分かったし。
それに岩ちゃんだって、返事に悩んでいる時点で脈アリだってことは分かりきったことだったし。
ただ岩ちゃんのテンパり具合があまりにひどくて、アレは俺なりの助け船のつもりだった。
『どんなって…友達、だろ?』
あくまで岩ちゃんの、心の準備が出来るまでの、時間稼ぎ。
『あ、でも岩泉の方は友達だと思ってなかったら笑えるわ。』
まさか時間を掛けすぎて、関係が進むどころか後退するとは思わなかったけど。
「ちゃんと自分の気持ち、言わないと…白兎に伝わってないよ?」
「……分かってるよ…」
そしてようやく重い腰を上げた岩ちゃんに、キューピッド役も大変だよ…と思わず溜め息を吐いた。
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(ここだけの話、俺結構好きなんだよね)
(バレー漬けの毎日の岩ちゃんが、四苦八苦しながらも白兎に合わせてマンガとか音楽とかの話をする姿が)
(それに気付かないフリして楽しそうに笑う白兎の姿が)
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嘘つき、ロンリー。