【誰かの好意を踏みにじってしまいました。文字通り。】07
「…なぁ、ちょっといいか?」
いつか口にしたのと同じ言葉に、いつか以上に緊張する。
「何だ?岩泉。」
だが、あの時の、下足箱にいた白兎は今以上に緊張していたと思えば、逃げ出しそうになるのを何とか踏み留まることが出来た。
『だって二人、別に付き合ってる訳じゃないもんねぇ?』
正直、及川の言葉はかなり胸に突き刺さった。
別に忘れていた訳じゃない。
いつかは言わなければ、言わなければ…と思いながらも徐々に縮まっていく距離に、つい言うのが照れ臭くなってしまった。
返事を催促しようとしない白兎に、ついつい甘えてしまっていた。
なんて、言い訳にしかならないが。
「今度の休みの話か?」
「、いや…その前に、どうしても言っておきたいことがあって……」
不思議そうに首を傾げる白兎に、顔に熱が集まるのが嫌でも分かる。
そして自分の気持ちを改めて再確認し、覚悟を、決めた。
「好きだ。」
「え?」
これは、あの手紙の返事なんかじゃない。
白兎の気持ちが変わっていても、構わない。
ただ純粋に、今の俺の気持ちを伝えるだけだ。
「…俺、こういうことはよく分かんねぇし…三年になったら、今よりももっと、バレーに専念すると思う、けど、」
学校以外で、休みの日に会うなんて、きっと難しくなる。
それは完全に俺の都合で、白兎がそれに合わせる必要はない。
そんなことは分かってる。
だけど。
「ムシのいい話かもしんねぇけど…お前が隣で支えてくれたら、すげぇ嬉しい。」
そんな我が儘を言ってしまうほど、俺は白兎から離れることが出来なくなっていた。
----------------
(そして白兎はいつかのように一瞬驚いたように目を見開いて、)
(それから笑って、頷いた)
*前次#
戻る
嘘つき、ロンリー。