【誰かの好意を踏みにじってしまいました。文字通り。】番外編


二年からの途中入部。

それもマネ希望の男子生徒。


それがいかに微妙な立場なのか、部員(特に同級生)達の何とも言えない表情を受けた瞬間、俺は理解した。


うん、十分理解しましたよ。

だから―…


「人手が増えるのはありがたいが………」


そこで黙り込むの、止めてもらえませんかね監督…!








(やっべ…入部初日から色々不安なんですけど…)


結局あの後、しばらく言葉を探すように沈黙した監督は「まぁ、その、何だ…とりあえず、公私混同は控えるように」と言って締めくくった。

例に洩れず、何とも言えない表情のまま。


しかも「チームワークを乱すな」でもなく「協調性を大事に」でもなく、「公私混同は控える」?

いや、事前にわざわざ注意するくらいだし、それが重要事項だということは分かるが…「公私混同は控える」?


なんて奇妙な引っ掛かりを覚えつつ、ボールの入ったカゴをコロコロ押していると、不意に休憩中らしい岩泉と目が合った。


「岩泉、」


ちょっと聞いてくれよ!と半ば手を挙げかけたところで、ハッ!とそれに気が付いた。


マネという立場を利用して気軽に友人(選手)に話し掛ける、これこそ正に公私混同…!


なるほど、「岩泉の友達」という触れ込みで入部した俺だ。

練習の邪魔になる、と端から監督に警戒されていても無理はない。


まぁ、触れ回ったのは及川だけど。


「白兎…?」


と一人納得していると、訝しげに眉を顰め、こちらを見つめる岩泉にようやく我に返る。

俺の右手は途中で止まったまま、下ろすタイミングを完全に見失っていた。


(ここで話し掛けたらダメだ…かと言って、何も言わずにごまかすのも無理がありすぎる…)


「何でもない、呼んでみただけ」?って止めろ、俺!

それを言って許されるのは、可愛い『彼女』だけだ…!


なんて悩む間にも、とうとう焦れた岩泉はこちらに向かって足を踏み出しそうな雰囲気で、


「「及川さーん!」」


(!アレだ…!)


背に腹は替えられない、アレで行こう!

そう意を決した俺は岩泉の動きを遮るようにヒラヒラと手を振り、そして―…






結局、監督から二度目の注意を受けました。


どうやら今のもダメだったらしい。

厳しいな、青城バレー部…!





大事なことなので、もう一度。





及川に向けられる女子の声援を、今まで「羨ましい」と思ったことはない。


だけど、今は。



『頑張れよー。』



パクパクと遠慮がちに動く唇から、確かにそう声が聞こえた。


「、っし!」


カァッと熱くなる顔を、ごまかすように両手で思いっきり叩く。


(別におかしなことじゃねぇだろ…俺達はつ、付き合ってる、訳だし…これからもこういうことが、あ、あるかもしれねぇんだ…だから平常心、平常心…!)


「岩ちゃん、岩ちゃん。」

「あぁ?何だよ?」

「顔、ニヤけてるよ。」

「……………」


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プチ☆夏フリリク企画より。
企画へのご参加ありがとうございました!


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嘘つき、ロンリー。