愛を紡いだ少年少女




(……さて。そろそろ帰りましょうかね)

 瀞霊廷へと帰るために村人たちへ別れの挨拶をしていたはずが、すっかり話に付き合わされて帰りにくい空気になってしまっていた。感謝を伝えてくれるのはありがたいのだが……これ以上この場に居たらキリがなくなる、とタイミングを見計らって気配を消し輪を抜け出す。帰還準備のため、荷車に荷物を詰めている彼女らの様子を一瞥し、自分も手伝おうと歩み始めたところで――「あ、白い羽織のお兄ちゃんー!」と、無邪気な子供の声。振り返れば、彼女が仲良く遊んでいた少女が目を輝かせて立っていた。


「……ボクに何か用スか?」
「あのね! 私、あの死神のお姉ちゃんのこと大好き!」
「朝緋サン?」
「うん! いっぱい遊んでくれて、一緒にたくさんお喋りして、すごい楽しかった!」
「はは。そりゃよかった」
「だからお兄ちゃんも、あのお姉ちゃんのこと好きでしょ?」
「!」
「約束! 絶対、泣かせちゃダメだよ! ちゃんとお兄ちゃんが守ってあげてね!」


 そう言って、少女はニコニコとした笑みを浮かべて、小さな小指を差し出した。

 ――村の片隅で流れる約束の歌は、少女の頭上を飾る花だけが静かに聞いていた。



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