思い出す度に心が痛みますように
「それで、ここは一体どこなんですか?」
「ああ、朝緋サンが道場ボロボロにしちゃったから。次からここで稽古しようと思って」
「……すんません」
その件に関してはひよ里にこっぴどく叱られて、これでも凹んでるんですよ。そんなチクチク言葉みたいに言わなくてもいいじゃないですか。ああ、思い出したら胃が痛くなってきた……。
「いやぁ、いいんスよ。どの道あの狭い道場じゃ斬魄刀は使えないですし。いずれここに連れてこようと思ってたんス」
「そんな好き勝手使ってもいい場所なんですか?」
「大丈夫っスよ。だってここ、ボクと夜一サンが好き勝手するために作った秘密の遊び場っスもん」
「……遊び場……って規模感には見えないですけど」
「いやぁ、張り切って作ったら随分広くなっちゃったんスよねぇ。……あ、ココ温泉もあるんで、朝緋サンも使って下さいね」
「い、いや、遠慮しておきます……」
入浴すれば傷が治るという、摩訶不思議な温泉の事だろう。多少興味はあるけれど、ロクでも無いことに巻き込まれそうなので遠慮しておきます。
しかし、私は本当にここを使ってもいいんだろうか。自分があの二人の間に挟まる行為な気がして、中々受け入れられない。彼と関わることは、もはや今更すぎるだろうとある種の諦めのようなものを感じているのに。彼と彼女、二人の関係に関わるようなことは、何故だか無性に気が引ける。後ろめたさが、我儘な私を縛り付けていた。
(夜一さん、)
貴女を、超えたいとは思いません。貴女に、なりたいとも思いません。だけど、私もいつか。貴女のような強い女性に、なれるでしょうか。
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