I do not want to lose you.


「俺の為に何が出来る?」

ふざけた事を言える空気ではなく、いつもの様に人に好かれるような人格や日本のために身を削りながら生きる彼の声色でもない。何処か迷っているようなそんな声で私に問う彼の姿はどこか儚く迷い子のようだと思った。バーボンと言う重み、安室透としての嘘の人格、降谷零としての責任感の中、頼れる人間が1人でも欲しいのだろうか?私がこの男のために出来ることは…

「そばにいてあげることぐらいしか出来ないかな…」

私が頼れる人間かどうかは分からない、ただ側にいる事は出来る。そう答えると先程の迷い子はどこへ行ったのか「ほぉー、それなら首輪をつけないといけませんね」と言いながら私の左手の薬指を手に取りキスを落とした。ひぇっと手を引こうとしたが手首を捕まれ胸元へと引き寄せられる。そして「とぴっきりの首輪を…ね」と耳に囁かれ、ねっとりとした声に腰が砕けそうになり、くらりと倒れそうになる中、腰に腕を回しバーボンが私を抱きしめる格好に…何でこうなったんだっけと男の胸板を見ながら考えた。分からない、取り敢えず離してもらおうと名前を呼ぶ。

「バーボン?」

反応がない、どうしたんだろうと顔を見れば、悲しげに笑う彼の表情を見てしまい胸がきゅっと締め付けられて、そのまま胸板に顔を寄せると強く抱きしめられた。