死のメリーゴーランド


杉元くんと和やかに話し第七支部へ行こうという話になる。尾形は来ないようで良かったと安心していると受付の方が杉元くんに口頭で何かを伝える。すると杉元くんが申し訳なさそうな悔しそうな顔で私を見てこう言った

「ごんべえさんごめん。ちょっと急用が入ってそっちに手を回さなければいけないみたいで…」

そんな顔を見て誰か責められると言うのか。大丈夫だよと杉元くんに伝える。でも杉元くんは納得していないようだった。仕方がない事で尾形とワンツーマンで見学に行けと言う死刑判決あろうとも杉元くんには罪はないのだ。あるとすればこの男のみ…ギギギという音を聞こえるかのように。首をゆっくりと尾形に向け睨もうとすると笑顔の見本として教科書に乗りそうなそんな顔をしていた。

「ひぃ…。」

余りの怖さに悲鳴をあげてしまった。さっきまで闇の深そうな目でこっちで見てたのになのに何故か笑顔を向けており、全身はさみで切られ尻にさせられるかのようなそんな顔をしている。意味が分からないがそんな感覚を覚えたのだ。そっと後ろに下がり逃げ道を確保していく。杉元くんが口を開こうとする前に尾形に首元をがしっと掴まれ逃げ道を確保していた努力も虚しく首を引っ張られて連れていかれる

「さぁ行きましょうかななしのさん」

「尾形さん、首締まってま、ぐへぇ」

「何を言っているんですか?それだけの元気があれば大丈夫ですよ」

「どこをどう見れば元気そうに…!ぐふぅ」


杉元はひくっと頬が動き助けようと思い腕を伸ばしたが、この会社の社長でもあるアシリパさんに肩を掴まれ別の意味で頬を引き攣らせた。




尾形に引きずられながらドナドナの歌が頭に流れ始めるごんべえ。その一方尾形は教科書に載りそうな素敵な笑顔で引き摺っていく前から歩いてきた人は「こんにちは」と尾形に声を掛けて普通に通り過ぎていく。この会社ではこれが当たり前なの?普通ってなんだっけごんべえはそう思った。

駐車場に連れて行かれ尾形は高級車の前に連れていくとごんべえの首元を離す。これはもしかしなくてもこの男の所有車ではなかろうか。嫌な男と乗るのも不快なのに、尾形の所有車に乗らなればならないのか。いや、まだだ。まだ決まっていない。そうだこれは会社の車と間違えているだけだそうに違いない。そんな思いも虚しく尾形はロックを解除した。

「…会社の車は?」

「そんなもの乗りたくないしよく知らねえ奴が触った汚ねえ手の垢が付いている車の運転もしたくねえよ」

鼻を鳴らし威張り散らす男に殺意が湧く。という事はやはりこいつの…車なのか。何かを口にしようと思ったがスルーしといた方がいいのかもしれないなと思い口を閉じなんとか耐える。ここは我慢時だよごんべえと自分に言い聞かせ後部座席に乗ろうとしたが声をかけられた。

「なんですか」

「荷物載っているから助手席に乗れ」

「嫌です。断固拒否します。」

そう言うとまた首根っこを掴まれて助手席に押し込められた。





「…」

助手席に無理やり乗せられるのは初めての出来事だなと痛みを訴える首を押さえてそう思う。そして早く職場に行きたいなと窓の外から見上げた昼だった。

「首痛いんですけど」

「さっさと言うことを聞かないお前が悪い」

「…敬語外されたんですね」

「使う必要性を感じなくなった」

「どういう事ですか」

「お前相手に丁寧な対応はいらないだろ俺と言い争えるほどだしな」


ははっと笑いながら前髪を撫で付けて言う尾形に信頼関係の大事さを誰か教え込んでやってくれ。終わったら速攻で白石に愚痴るかと笑顔で空を眺めたごんべえだった