クーリングオフをさせてください


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私は犬がすき



ずっと主人に従い、そして慰めてくれるいいパートナーにもなれるそんな犬が好き



猫は苦手


自分勝手で、自由奔放、甘えたかと思うと突き放すあの生き物が苦手


だからだろうか、ここの大家さんが苦手なのは、目の前にいる大家の尾形さんを見てそう思う、何故か回覧板をいつも届けてくる大家さん。別にドアノブに掛けてくれればいいものの物好きな方なのか何故かいつも私に手渡しをすると会話を二度三度し帰っていく、最初は何がしたいのか分からなくて戸惑っていたが慣れたものだと顎についた彼の傷を見ながら彼の会話を適当に相槌をする

「猫はお好きですか?」

私の考えを読まれたのだろうか、何故その話題をされたのか分からないまま困惑したが私は答える「…少し苦手ですね」と、正直に答えると「そうですかそりゃあ残念だ」そう言って前髪を撫で上げる。里親でも募集しているだろうか?疑問に思って首を傾げると尾形さんは口を開く

「じゃあまた回覧板が来たらまた届けます」

「あ、あのドアノブに掛けてくれれば私はそれで」

黒い瞳が私を見つめるとにこりと笑って

「回覧板盗まれる事があるので注意をしないと」

そう言われると何も言えない、そうなんですかと答えると尾形さんはまた来ますと言いドアを閉めた、回覧板を盗みたがるモノ好きな連中なんて居るんだな迷惑すぎる




いつものように仕事を終えて帰っていると黒猫に会った。綺麗な毛並みで私の方に擦り寄ってきた、にゃあーんと甘い声を出しながら足にスリスリと全身を私の足に撫で付ける。猫は苦手だけどこんなに甘えられるとやはりデレデレになってしまう

「…か、かわいい」

頭を撫でるとゴロゴロと喉が鳴り背中を撫でるとうにゃあーんと喜ぶ、お腹は何故か嫌がったが、それでもかわいい物は可愛い。でも私は疲れてヘトヘトで早く帰りたかったので猫に帰るねと声を掛けて去ろうとしたが少し歩いて後ろを向くと私のあとを追ってきていた。心がきゅんと締め付けられ気付いた頃には胸に抱きしめて家へ戻っていく、何故か猫は私に抱き上げられた後、胸にゴロゴロと執拗にスリスリされたが、まぁ猫だしいいかなと気にしなかった。

家に帰ると私の腕から滑り落ち寝室の方へ猫ちゃんは向かっていった。私も寝るために化粧を落とし風呂は明日の朝に入ればいいかと疲れた身体をベッドに沈ませる。すると猫ちゃんは私の腕の中に滑り込みすりすりとマーキングをするみたいにまた擦り付けていく

「ふふ、猫ちゃん。私の家族になる?」

そう言うと肯定をするみたいに、にゃあーん!と返事をした。頭がいいなこの猫ちゃん、顔を撫でるとザラっとした感触があり何だろうと目を凝らして見ると手術痕のようなものがあった。ふと大家の尾形さんもこんな傷あったような気がするなと思い出したが眠気に抗えず目を閉じた。




朝、何かに抱きしめられている感触を感じた驚いた私は目を開くと尾形さんの顔が目の前にしかも近距離にあり固まる私に「おはよう」と笑いながらおでこにキスをされた。離れようと躍起になるが腕の力が強い、なんでここに尾形さんが?そう口に出すと

「猫は嫌いじゃなかったのか?」

ニヤリと笑いそう言う。そういえば猫ちゃんが居ない、昨日尾形さんの顎の傷に似ているなと猫ちゃんの顔を触っていた、たらりと汗が流れる。そんな馬鹿な、手を尾形さんの手術痕に触れようとするとくんくんと私の手の匂いを嗅ぐ、いや現実的にありえないから。ないない絶対ない、尾形さんの手術痕に触れるとザラっとした感触に冷や汗が止まらない

「お前の家族にしてくれるって言ったよな?」

目を細めながら無表情で私のおでこにキスをした。それは昨日黒猫に言った言葉で、それなら昨日胸に擦り寄ってきたのも…顔色が悪くなっていくのを感じながらクーリングオフって出来ますかね?と馬鹿なことを口に出す

「出来ないしさせない」

女を強く抱きしめている男は、やっと捕まえたのに離すかよと笑ってまたマーキングをするかのように女に一つ、一つキスを落とした