ルーサーに仕える女が裏切る話
「ルーサー様」
虚空機関の総長であるルーサーは聞きなれた言葉に耳を傾けず黙々と作業をしていた。研究サンプルを纏めるため端末操作をしている彼にとっては雑音そのものであり、恋だの愛だのそんなものにかまけている暇はない。ないのだが…ごんべえが集めてきた情報を受け取らなければ先へ進めないことも知っていた。
「頼んだ情報は集めてきたのか」
端末から目を離さずにごんべえに問い掛けた。肯定の意を意味する言葉を発し、端末に纏められた情報が送られてくる。簡潔に分かりやすく、だが内容は充実であるためルーサーは満足そうな笑みを浮かべた。
「よくやった」
いつものように労いの言葉を掛けてやると満足そうな顔で去っていくのだが、何故かそこから動こうとする気配がしない。放っておけば何処かへ行くだろうと考えたが去る気配はなく集中が途切れた
「何故そこに立っている邪魔だ」
「ルーサー様お聞きしたいことがあります」
いつものような軽口ではなく真剣味を帯びた声で言うごんべえに興味を持ち視線を向けた。ごんべえは視線を向けられるとは思っていなかったらしく動揺を隠せなかったが直ぐに立ち直し口を開く
「ハリエット様の事は覚えていらっしゃいますか」
「…?何を馬鹿なことを言っている」
「そう…ですか、すいません」
カツカツと音を立てながら廊下を歩き、先程のことを考える。馬鹿な事、昔のルーサー様ならハリエット様の事をそんなぶしつけにするわけが無いと知っているごんべえは口を噤みその場を去った。大切な妹君、そして父でもあるルーサー様、やはりダークファルスに記憶領域を徐々に奪われているのだろうと推測し、紙が散乱する仕事部屋へと戻り後ろで悲しげな表情をするシオンへと目を向けた。
「ルーサー様と私を終わらせるために協力するよ…シオン。もうハリエット様は戻らないって事も分かった、ルーサー様を止めるのは貴方と私とその他大勢居るということも…何度も時間を繰り返しているということも分かったよ」
無表情に淡々と言葉を紡ぐごんべえにごめんなさいと伝えるがごんべえは聞かないことにした。全ての元凶はこのシオンなのだ。全ての始まり、ハリエット様がああなってしまいルーサー様が知識を求めてしまった元凶、私がルーサー様と共に死ななければいけない事も、全てこのシオンが招いた事であった。
「夢を終わらせよう、私とルーサー様の夢を…」
これからするルーサー様に対する反逆行為を頭の中でシチュエーションしながら目を瞑った。
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シオンが見える
ハリエット嬢を覚えてる
ヴァルナが夢主を知っている
戦えないフォトン使えない魔術は使える設定