本丸に帰った私と薬研は、夕餉の席で研修制度導入についてを皆に話した。

特別部隊の四本丸で行うことや、私たちの本丸が選ばれた理由も含めて説明すれば、彼らは互いに顔を見合わせて様子を伺っている。



加「主は研修生を迎えるつもりでいるの?」



加州の問いにより、視線が私へと集中する。皆揃って、主である私が受け入れるつもりなら拒否する理由は無いとでも言いたげな顔だ。



『もし貴方たちが頷いてくれるのであれば、政府には迎え入れると返答します。私も見習いさんの研修は行うべきだと思いますので』


大和「じゃあ、もし僕たちが「嫌だ」って言ったら?」


『研修生の受け入れはしません。他の本丸をあたるように頼みます』



この研修で学ぶべきことは、本丸での生活の仕方もそうだが、何より刀剣男士との交流があってこそ戦い方も考え方も身につくというもの。彼らの協力が得られなければ研修の意味が無い。



『先生の立場になるのは私だけではありません。寧ろ、私が貴方たち刀剣男士に頼ることの方が多いです』



研修中は本来の日課もこなしつつ、研修生の勉強も見なければいけない。私一人の力でその全てを行うことはハッキリ言って不可能だ。



『シロはどう思う?』


シ『ん〜、私は別に受け入れても良いと思うけど。仲良くなれるならお友達になりたいし!』



思っていた通り、人見知りしない性格のシロは心配する必要は無さそうだ。



『そう。刻燿は?』


刻「ボクも良いよぉ〜。クロちゃんのお手伝いするねぇ〜」


『ありがとうございます』



刻燿も問題ないらしい。あとは研修生からの二人に対する好奇心だけ気にしていれば支障は無いだろう。



『皆さんはどうですか? 今すぐ答えを出せとは言いませんけれど』


鶴「そうだなぁ……」



お味噌汁を飲みながら考える鶴丸。他の皆さんも、食事の手を進めながら各々考えているようだ。



『(やっぱり難しいですかね……)』



彼らは前任により酷い仕打ちを受けてきたため、人間不信なところがある。そう簡単に他人を受け入れられないのだろう。

しかも、研修場所はこの本丸。私たちの家に数日間泊まらせるのだ。一つ屋根の下で、素性も知らない人間と過ごすとなれば、例え神様と言えど少なからず疲労は感じることだろう。

この件に関しては、彼らを説得するつもりは無い。一人でも反対意見があれば断ろう。


 

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