審神者研修の話が出てから、早くも一週間が経過した。
今日から研修生がこの本丸にやってくる。

瑠璃様たちも各々の刀剣たちに相談したところ、研修生を受け入れることに賛成してくれたらしく、各本丸で一人ずつ対応することになった。

研修生の登録名や成績などの情報は、前もってこんのすけから資料を預かって目を通している。
うちに来る研修生は男の子になった。資料を見る限りでは、これといって秀でているわけでも劣っているわけでもなく、極々普通の成績をキープしていたようだ。

この研修によって、彼が審神者になるに値するのか否か。私からの評価が大きく反映される。気を引き締めていこうと深呼吸し、研修資料のファイルを閉じる。
すると、タイミング良く真黒さんからの通信が入った。



真「おはよう、クロ。今日から研修よろしくね」


『おはようございます、真黒さん。お役に立てるのであれば光栄です。研修生の準備は整いましたか?』


真「うん。今、研修生四人への説明が終わったから、迎えに来てもらって良い?」


『了解しました』



私の本丸には、外部からの勝手な侵入を拒むための結界を張っている。政府の人間であろうと審神者であろうと、本丸の主である私が許可していない限り、足を踏み入れることはできない。

政府所属だった頃は、政府や審神者でも来訪を許していたのだが、所属を外れてからは知人でない限りは許さない。また勝手に本丸を荒らされては堪らないし、私の大事なものたちに手出しはさせない。

人間不信が過ぎるだろうかと悩んだこともあったけれど、それで隙を突かれては本末転倒だ。何もせずに後悔するよりは良いだろう。

ということで、私が迎え入れないことには研修生も本丸に入ることができないため、政府まで迎えに行くことになったのだ。恐らく瑠璃様たちが担当する研修生たちは直接本丸に向かっているだろう。こればかりは私が無所属の審神者だという意味で仕方のないことだ。

さて、いつまでも待たせてはいけない。真黒さんとの通信を切り、薬研と共に政府の待ち合わせ場所へと向かった。


 

ALICE+