瑠「はぁっはぁっ!ちょっとクロ!!あんた真面目にやってる!?」
『失礼だな。やってるぞ』
何度も刃を交えて疲れてきたのか息切れが激しい瑠璃に対し、私は汗はかいていてもそれほど疲れてはいない。殆ど受け身で流してるだけだったし、攻めてもそんなに力を加えていなかったから。
真面目にやっててもそりゃ差も出てくるってものだ。
『瑠璃こそ、もう少し手の力を抜いてくれないか?』
…怪我させて重春様と麗華様に怒られるのは勘弁願いたいもの。万が一でも私まで病院のお世話にはなりたくないし。
──トクン……トクン………
『…………』
真面目にはやっている。でも、注意が刻燿に逸れているのもまた事実だ。
手合せが長引くにつれて刻燿から熱が流れ込んでくる。初めて感じるこの感覚に若干戸惑っているからか、瑠璃はそれを不信に思っているようで機嫌が悪くなってきた。
瑠「もぉおお怒った!!ちゃんとあたしを…!!」
『!瑠璃待った!』
まずい…
石「いけない!主やめるんだ!!」
薬「大将!!」
加「主っ!!」
今「あるじさま!!!」
瑠「見ろぉおおおおおおおお!!!」
頭上に振りかぶった石切丸に瑠璃の霊力が多く注がれていくのが目に見えてわかった。思いっきり振り下ろされ、溜まっていた霊力が衝撃波となって押し寄せてくる。
皆さんの焦る声も駆けてくる足音も、もう遅い。
逃げ場なんか無いし、逃げる気も負ける気も毛頭無い。
一か八か、防ぐしかないか。
長いような短いような一瞬の間で刻燿を構え直し、その衝撃波を睨んだ。
バアァァァン!!!