「そういえば、本当に良いの?隣にいるよ?」
固まったままの鶴丸が。たぶん相手がシロだとは思っていなかったのだろう。鶴丸はまだ会ったことないですしね。
昼間にも鏡ごしなら刀剣男士たちとお話しできると言ったのだが、シロは首を横に振った。
「良いの!私は直接会ってお話ししたいんだ!」
「…そっか」
「うん!じゃあ楽しんでね!おやすみ!」
「おやすみ」
通話を終え、お茶を飲んで一息吐く。あとは私の短冊を書くだけだ。
黒い短冊に書いているとやっと鶴丸も動いたけれど、私のそれを見てまた驚きからか目を丸くした。そんなに意外なことは願っていないのだけど…。
「!」
「これで良し、です。飾ってきますね」
「あ、ああ」
「……あ、そうそう」
「?」
「また行事がある時はお願いしますね、鶴」
「!」
「楽しみにしています」
さて、私も飾りに行きましょうか。
草履を履いて縁側に下りる。私の姿を真っ先に見つけた今剣たちが駆け寄ってきて、あっという間に囲まれてしまった。私の短冊を覗き込んでは嬉しそうにはしゃぐ皆さんはすごく可愛いです。
「あるじさま!あるじさまたちのたんざくは、てっぺんにかざりましょう!!」
「それは名案ですね!」
「天辺ですか?」
「お願い事叶いやすそうだよね〜」
「岩融さん連れてきたよ〜!」
(はや…)
「しっかり掴まっておれよ!」
「え……わっ」
あれよあれよという間に岩融の片腕で肩車されてしまった。浴衣じゃ仕方ないですけど片腕とは…。岩融は力持ちですね、重いでしょうに。
でもこの高さなら有り難いです。皆さんの言う通りに天辺に二枚飾らせてもらうと、降ろされる…かと思いきや今度は横抱きにされてしまった。
「主は小さいばかりか軽いなぁ!飯は食ったのか?」
「食べましたよ。光忠たちの料理はいつも美味ですから」
「ああーーっ!!?」
「うるさいなぁ、何だよ?」
「岩融が主のことお姫様抱っこしてる!!ズルい!!」
「なにっ!?」
「ぬしさま!姫抱きなら私めが」
「いいや!ここはかっこ良くて強いこの俺が!!」
「え?あの…」
「がはははは!!主は人気者だなぁ!!」
いや、人気者だなぁとか笑ってる場合じゃ…。あぁあ、降りるスペースが無くなってしまいました。ピンチです、どうしましょ?
きょろりと視線をさ迷わせていたら離れた所にいた薬研と目が合った。一期の介抱を終えたようで、厚とゆっくり飲んでいた彼はニッと笑って口パクした。
(″が…ん…ば…れ″……。他人事ですね)
でも……
「主、俺にもやらせて!」
「…わかりました。順番ですよ」
「!!やった!」
「落とさないでくださいね」
「大丈夫だって!」
(今日くらいは振り回されてみましょうか)
これも願い事の内です。
〈この楽しい日々がいつまでも続きますように クロ〉
(…楽しいと思えていることが嬉しい)
刀剣たちに代わる代わる抱っこされながら私は胸が暖かくなるのを感じ、確かな幸せを噛み締めていた。
「…………」
「(羨ましそうな目ぇしてんな…)
良いのか?薬研は行かなくて」
「ああ。大将も楽しそうだしな。あの人が笑うのは珍しいし」
「じゃなくて、お前もやりたかったんじゃねぇの?大将のお姫様抱っこ」
「…………」
「美人だし、うかうかしてると誰かに取られちまうぜ?」
「…決めんのは大将だ。大将が幸せならそれで良い」
(痩せ我慢しやがって…。でも否定はしねぇのな)