「んで、何のイベントがあるんだ?」



薬研が私の手元にあるチラシを覗き込む。改めて見ると結構種類豊富だ。でも参加できないイベントもある。



「肝試し、夏祭り、バーベキュー…。あと潮干狩りと海水浴…」


「そりゃダメだな」


「すみません…」



潮干狩りと海水浴は無理だ。

水着になるなんて痣を見てくれと言っているようなもの。自分で見るのも嫌なのに誰かに見られるなんて絶対に嫌だ。



「気にすんな。俺たちも傷が残ってたなら大将と同じ気持ちにもなる。そこは全員わかってるから大丈夫だ」


「皆さんだけで行っても良いのなら快く送り出してあげるのですがね…」


「大将がいなきゃ誰も行かねぇって。海水浴に限らずどのイベントでもな」


「そう…ですか?薬研も?」


「俺っちだって大将が行かねぇなら留守番するさ」



…そうなのか。私は今までもずっと我慢してきたことだから良いのだけど。私のせいで皆さんにまで我慢させたくはない。

薬研だって私の近侍だから、私が出掛けないのなら傍にいようと我慢してしまうのだろう。

私の行動一つで彼らを縛り付けてしまう。痣を見られるよりそっちの方が嫌だ。



「皆さんには申し訳ないですが、それなら他のから選んでもらいましょう」


「(申し訳ないとか思わなくて良いんだけどな…)
ま、あいつらがどれを選ぶかは想像つくけどな」


「?」


「いいや。大将は他ならどれでも大丈夫なのか?逆にどれが良いとか…」


「何でも大丈夫ですよ。寧ろ迷ってしまうので決めて頂いた方が有り難いです」


「わかった。じゃ、俺も告知して回ってくる。楽しみにしといてくれや」



ひらりと後ろ手を振りながら去っていく薬研。

…"楽しみに"か。



「楽しんでも…良いのかな…」



シロは参加できないのに。皆さんだって全員が参加できるわけじゃないのに。

罪悪感が否めず、いつの間にかチラシの端に皺が寄っていた。










「…ということでイベントがあるのですが、何に」

「「「「「夏祭り!!!」」」」」

「……はい、では夏祭りで。えっと…、日取りは八月末になりますね。行きたい方は」

「はいはーい!」

「はーい」

「…はい」

「ぼくもですよ!」

「ぼ、ぼくも…」

「俺っちも」

「…ちょうど六名ですね。他の皆さんは良いのですか?」

「おう!土産楽しみにしてるぜ!」

「酒の肴になるものいっぱい買ってきてよね!」

「楽しんできてくださいませ」

「はあ…。ではお言葉に甘えて。
(なんでこんなにスムーズに進むんでしょう??)」



 

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