02



無事、会いたくて仕方がなかった幼なじみに会えた。
そしてラッキーなことに、職員室まで左右田に案内してもらえることになった。
最初は戸惑っていた左右田だったが、職員室までの道のりで慣れたようだ。


「ありがとう!すごく助かったよ」


「いや、気にすんな」


照れているのか頬をポリポリとかく左右田に、和一くんは何組なの?と聞くと1-B。春香は?と返ってきた。


「実はまだ聞いてないの。同じクラスだったらよろしくね」


「あぁ…そうだな。…なぁ」


「…なぁに?」


少しの間待ったが、左右田は一向に続きを話さない。
不思議に思った春香は、小首をかしげ左右田を見つめた。
いや、なんでもない。じゃあな、と言うと左右田は教室に戻った。
…なんだったのだろう。
続きが気になったが、当の本人はすでに自分の教室に行ってしまっている。
まぁいっか!同じクラスだったらいいなぁと思いながら、春香は職員室に入った。


「失礼します」


「お、天霧か。待ってたぞー」


職員室に入るや否や、白い帽子を被った教師が春香に近づいてきた。
黄桜公一という教師のようだ。
挨拶をすませると、じゃあ教室行くかーと準備を始める黄桜。
自分のクラスを聞いてなかった事に気がついた春香は黄桜に尋ねてみたが、へらっと笑いながら まぁ着いてからのお楽しみってことで。と流されてしまった。
なぜだ…。じとーっと見つめてみるが、黄桜には効かない。
大人しくついて行くと、ある教室の前で止まった。


「ここが君のクラスになる」


1-Bと書かれた教室だった。


「ここ…!」


「そういやぁ、君の幼なじみもこのクラスだったな」


よかったな、と笑う黄桜に、ありがとうございます!と春香は満面の笑みを浮かべた。
まさか本当に同じクラスになるとは…!春香は高鳴る胸を抑えて、教室に入った黄桜について行った。


「おーい静かにしろよー」


教室はザワザワとしていたが、黄桜と春香の登場により静かになった。
教壇に立った黄桜の隣に立ち、クラスメイトの方を見ると、先程会った幼なじみが驚いた顔をしてこちらを見ていた。


「今まで仕事の都合で登校できてなかったが、今日から同じクラスの一員となる天霧だ。」


「天霧春香です。仕事の都合で休むことが多いとは思いますが、よろしくお願いします」


ぺこりと頭を下げると、さきほどまで静かだった教室が急にざわついた。
不思議に思い、下げていた顔を上げると、超高校級の軽音楽部 澪田唯吹が声を上げた。


「あーーーーーー!知ってるっすー!天霧春香って、女優の天霧春香っすか?!」


「わ、私、月9のドラマ観てましたぁ…」


超高校級の保健委員 罪木蜜柑も頬を染めながら、春香を見ていた。
自分のことを知ってくれている人がいるとは…春香は頬を染めながら、照れ笑いをした。


「あ、ありがとうございます…」


「はいはい、お喋りは後でな」


天霧は窓側の一番後ろな、と黄桜に言われ、春香は返事をすると言われた席に向かったが、前の席が空いていた。
もうすでに休んでいる人もいるのだろうか。
超高校級と名の付く人達だ。自分と同じように、すでに仕事をしている人だっていてもおかしくはない。

春香がそう考えながら着席すると、座ったのを確認した黄桜が授業を始めた。


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