可憐でキュートな






 随分と季節外れだ。

 そんなふうに考えながら、手のひらに収まるチラシを見た。飾り気のない白色のコピー用紙。見出しには大きく「稲荷崎高校・男子バレーボール部」と油性ペンのようなもので書かれていて、その下にボールやコート、デフォルメで可愛く書かれたキャラクターが所狭しと並んでいる。右下には活動日は週何日、何時から何時まで、それに加えて今までの功績、などイラストだけではなく簡潔に文字まで書かれていた。
 丸いようで癖のないこのきれいな字は、今目の前にいる女性が書いたのだろうか。失礼なのは自覚済みで、どうもそれは、武骨な男子バレー部のメンバーが書いたような字だとは思えなかったのだ。

「きみ、1年生やんな?」
「……」

 目の前の女性から頂いたチラシをまじまじと見つめていると不意に声がかかって、無意識のうちに反射のような力が働いて顔を上げた。彼女が髪を耳にかける仕草を見て、きゅ、と自身の喉から小さく音が鳴る。緊張してしまっていると丸わかりのこの音は、聞こえてしまっただろうか。

「そう、です……」
「よかったぁ、部活とか入ってる? チラシ受け取ってくれたってことは、入ってないって思ってええかな?」
「そォ、ですね……せ、先輩は、バレー部ですか」

「……!」

 こちらの言葉に、よくぞ聞いてくれた!と目の前の女性が瞳を輝かせる。

 あ、可愛い。そう思った時には既に心臓が爆速で鼓動を刻んでいた。心臓が何回動くと死ぬ、みたいな話を小学生の頃に聞いた気がするが、もしそれが本当ならたった今寿命は半分程度縮まったのではないだろうか。

 でもまあ、この先輩が原因で死ねるんなら吝かでは無いな……へへ……。

「私もバレー部やねん。 こんな時期からで何やけど、一緒にマネージャー、やらへん……?」

 緊張した面持ちで彼女は訊く。不安そうに口元に手を当て、上目遣いで。……うわ、うわ、これは、マジでダメだ……!

 気付けば先輩の口元に自らの手を寄せ、華奢な両手を包み込んでいた。

「……はいっ♡♡ 喜んで♡♡♡」
「ありがとお♡」

 稲荷崎高校バレー部マネージャー、ミョウジさん。現在高校3年生。私は顔面がめちゃくちゃ好みだったこの先輩に勧誘され、結果即落ち二コマで入部を決定。

 私と先輩の物語は今始まったばかりである____









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終焉