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その日、不思議な夢を見た。
真っ白な世界で、ただ2つの扉が鎮座しているの。片や丁寧な木製で、片や真っ黒で視界に入れるのもおぞましい程の禍々しさを放つ扉。
進んではならないと分かっていたが、同時に理解した。この向こうには、わたしに消えない呪いをかけた愛しい愛しい貴方がいると。
立ち止まってなんて、居られなかった。
進む。進む。振り向いてなんかやらない。もう振り返れない。あなたがいるのなら、わたし、どこまででも行くよ。
ドアノブを捻った。
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君の笑う声が聞こえる。ぼんやりと浮上した意識はやがて、ハッキリとした輪郭を持ちはじめた。
薄らと瞼を持ち上げるとそこに君が気付いて、引き合う引力のように目が合わさる。
そうしていると君はまた幸せそうに破顔するものだから、久しぶりに見たような気がするその笑顔を脳裏に焼き付けたくて、何度も瞬きを繰り返した。
それはきっと、眼球に膜を張る水分を零したくなかったからだとか、そんなものではないのだ。
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