デートの約束
「乱菊さんいい加減にしてください!あんまりさぼるなら私が副隊長の座を奪いますよ!?」
「何よぉ、怖いこと言わないでよ!解ったから怒らないで、ね?ね?隊長も何か言ってくださいよ〜〜!」
「神谷副隊長…か」
「日番谷隊長〜〜!!」
十番隊の執務室の扉をノックしようとしたら、中から怒声が聞こえてきた。今入ったら仕事の邪魔になるだろうか。そしたら俺まで仕事の鬼に怒られそうだ。いや、でもしかしここまで来たからには、引き下がるわけにはいかないし。
扉の前で悩んでいたら、ガラガラっと扉が開かれた。
「用があるなら早く済ませて貰えませんか。仕事の用てすか?何ですか?」
「あら修兵、きてたの?」
「こんにちは…」
別に霊圧を消していたわけではないが、気付かれていたことには驚いた。
何気なく執務室に入ろうとしたら、葵ちゃんは腕を広げて俺の前を遮った。
「今から乱菊さんはお仕事をします。それを把握した上での用ですか?それとも、暇潰しか何かでしょうか?お答えください」
「…そんな風に腕広げられたら飛び込みたくなるんだけど」
「…貴方は私を怒らせたいんですか?」
葵ちゃんはあとずさって腕をおろした。
「修兵、うちの三席が可愛いからってちょっかいかけに来たの?」
「あ、ばれました?」
「お茶でも飲んでく?葵、いれてきてよ」
「…日番谷隊長、どうしましょうか」
「帰らせろ」
「承知しました」
日番谷隊長に助けを求めた葵ちゃんは、俺に冷ややかな目を向けて、俺を執務室の外に追い出した。そのまま扉を閉められるかと思いきや、葵ちゃんも出てきてから扉を閉めた。
「あの、申し訳ないですが、仕事中に来られると困るんです。こうしている時間ももったいないです。私は好きで仕事してますが、だからって乱菊さんを甘やかして乱菊さんの分まで働くつもりはないんです。三席が生意気なことを言って申し訳ありません」
「…わかった。じゃあまた、仕事終わってから会いに来る」
「好きにしてください。ですが、いらっしゃっても乱菊さんがちゃんと仕事終わらせていなかったら乱菊さんのことは渡してあげられませんので、ご了承ください」
「いや、乱菊さんじゃなくて、葵ちゃんに会いに来るつもりなんだけど。葵ちゃんなら定時にはちゃんと仕事終わらせてるだろ?」
俺にしては頑張って口説いてるつもりなのに、葵ちゃんは難しそうな表情を崩さない。やはり恋次の言う通り、俺ではダメなのか。
「残念ですが、乱菊さん次第ですね。今日はたまった仕事が片付くまで見張るつもりなので」
「そうか」
なら仕方ないな。
俺は執務室の扉を開けた。
「乱菊さん、今日頑張って定時に仕事終わらせてください!」
「えー、嫌よぉ」
「今度ご馳走するんで!!高いお酒も!」
「ふーん、そこまで言うなら頑張ろっかな〜」
乱菊さんがやる気を出してくれて安心しつつ、葵ちゃんを見たらやっぱり複雑そうな顔をしていた。
「ずるい人ですね」
「悪いな。またあとで迎えに来るから、待っててくれよ」
「…どうでしょうね」
さて俺も、定時にあがれるように仕事を片付けてこないとな。終わったら葵ちゃんとデートだと思えば、きっとどうにかなるだろう。
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