流されて


「ねぇ葵、昨日修兵と二人で仲良くご飯行ったんだって?」
「人聞きの悪い言い方をしないでください」
「雛森が見たって言ってたのよ」

乱菊さんはこういう浮わついた話が大好きだ。だから勘違いをさせたくないから少しでもそういう風なイベントは避けてきたのに。

「どういう風の吹き回し?」
「冷たくあたってしまったお詫びです」
「お詫びってことは奢ってあげたりしたの?」
「…いえ」
「まさかお詫びなのに修兵に奢らせたの?え、それお詫びって言えるの?まさかご飯デートしただけでお詫びってことにしたの?」

痛いところをつかれてしまった。その通り、檜佐木副隊長は私の分のお代まで出してくれた。借りを作りたくないから払うと言っているのに、かっこつけさせてくれよ、なんて言われてどうしていいか解らなくなった結果、奢られることになってしまった。

「それじゃダメよ、今度お菓子でも差し入れてあげたら?」
「…やっぱり、そうですよね。そうします」
「手作りのね」
「手作り!?そんなの、作れるわけないじゃないですか、」
「買ったお菓子で誤魔化せると思うの?それこそダメよ。大事なのはね、気持ちよ?」

乱菊さんの意見を信じていいのだろうか。日番谷隊長にも意見を聞きたかったが、こういうときは年上の意見をあてにするべきだろう。

「作るの、手伝ってもらってもいいですか?」
「見守るくらいならしてあげてもいいわよ」
「…買い出しとか」
「じゃあ今日、仕事終わったら買いに行きましょうか」
「…はい」

乱菊さんの意見に流されている。解っているのだが、話がどんどん進んでしまって、取り返しがつかなくなってきた。
仮にもあの人は、私に気があるかのような物言いをする。乱菊さんとも仲良いみたいだし、きっとあの人は、誰に対してもああなんだろう。だけど手作りのお菓子なんて渡したら、更に調子に乗らないだろうか。ただのお詫びとして、受け取って貰えるのだろうか。

「そんな不安そうにしなくても、あんたの手作りなら修兵は絶対喜ぶわよ」
「…はぁ」

だから、それが嫌なんですよ。

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