貴方のために



今日は檜佐木くんとご飯だから、せめて待たせることが無いように掃除とかの雑用はちゃっちゃと終わらせようと思い、朝から掃除を片付けまくった。
急患も居たが、私が出る幕は無く、いつも通りの緩い一日として終わる。そう思っていた。

「桜さん!!急患です、来てください!」
「えっ、私?すぐ行きます!」

七席の花太郎くんの手が空いているなら急患くらいすぐ治せるものだと思ったのに、私まで駆り出されるだなんて。よほどの大怪我をした患者でも運び込まれたのだろうか。

「状況は?」
「軽傷四名、重体一名です。虚退治をしていたところ、隙をつかれたらしいです」
「そう…また十一番隊?」
「それが……、九番隊で、重体なのが、その、」

言い淀む花太郎くんを見て血の気が引いた。檜佐木副隊長です、と答えてくれたが、その解答は聞きたくなかった。
無言のまま、急いで集中治療室に駆け付ければ、他の席官が既に治療を始めていた。内臓までやられてしまったようで、腹部の出血が酷かった。

「治療、代わります。やらせてくだい」
「あっ、はい」

一刻も早く傷を塞いであげたくて、私が全力で尽くそうと思った。花太郎くんは何も言わずに私のサポートをしてくれて、他の擦り傷や切り傷を治していった。

他の患者に聞かれたら怒られそうだけど、誰の傷よりも念入りに回道を使った。檜佐木くんに、これ以上傷を増やして欲しくなくて、跡なんて残りそうもないくらい、綺麗に治るように力を込めた。

治療は数時間にも及んで、やっと内臓と傷口の修復が終わってきた。もう大丈夫だという判断で、治療室から病室へとうつされた。

「桜さん、まだ治療続ける気ですか?」
「……ばれた?」
「このまま朝まで寝ていて貰えば霊圧も回復しますし、そんな付きっきりじゃなくても大丈夫ですよ。心配なのは、解りますけど……」
「…だって、まだ痛いはずだもん。もう少し、ここに残るよ。今日やらなきゃいけないような仕事、残ってないし」

副隊長だから個室であり、私が居るからといって誰にも迷惑はかからない。

「解りました。何かあったら、連絡くださいね」
「ありがと」

迷惑はかけていないけど、花太郎くんに余計な心配はかけさせてしまったようだ。あとで改めてお礼とお詫びを伝えないと。


「檜佐木くん」

治療を再開して、呼び掛けてみるけど返事は無い。顔色もまだ悪いし、心配になる。
自分でもここまで必死になってしまうのはどうかしているような気がする。でも、檜佐木くんのために、何かせずには居られなかった。

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