二人だけの秘密
あれから毎日、翌日のさぼる予定をたてながら大和田くんと密会をしていた。それが1週間も続くと、私のクラスメイトにも大和田くんのクラスメイトにも勘づかれたようで、お互い色々聞かれていた。私らの機嫌が良すぎてバレたようだ。
「バレちゃったのは恥ずかしいけどさ、でも大和田くんが楽しそうで嬉しそうで、私も嬉しい」
いつも無愛想で不機嫌オーラを纏っていたのに、穏やかな雰囲気のおかげで私も隣にいて居心地がいい。私らはまさにウィンウィンの関係だ。
「大和田くん、みんなに色々聞かれて怒ったりしてない?」
桑田くんとか茶化してきそうで、大和田くんが怒鳴ってないか少しだけ心配だった。大和田くんに視線を向けてみれば、視線がばちっと交わった。
「どうかした?」
「雅が楽しそうに喋るから、見てた」
「何それ」
「目に焼き付けてた」
そんなに私が隣に居ることが嬉しいかな。
「焼き付けなくたって、これからずっと大和田くんの隣に居るよ」
くすっと笑えば、大和田くんは頬を染めた。照れてくれることが嬉しくてしょうがなくて、構ってあげたくなったから筆を置いた。
「大和田くんが嫌だって言ってもね!」
大和田くんにぴったりくっつくくらい距離をつめた。最初は少しでも距離を置きたかった人と、今はこんなにも近くに居たいなんて。
ふと見上げれば、私を見下ろす大和田くんと目があった。かっこいいなぁなんて見とれていたら、ゆっくりと大和田くんの顔が近付いてきた。そろそろ、そのくらいしてもいいかと思い、目を瞑った。不器用に押し当てられる唇の感触が、嬉しくてついにやけた。
「ふふっ」
「…何笑ってやがる」
「嬉しくて」
もっと欲しくて、遠ざかる前に私からまた距離を詰めて、唇を重ねた。やみつきになりそうなその感触にぞくぞくして、馬鹿の一つ覚えみたいに何度も下手くそにキスをした。
「…雅、そろそろやめねぇと、やべぇ」
「ん……何が?」
「……我慢、できなくなりそう。触れてぇんだよ、もっと」
求められるのは嬉しいけど、さすがにまだ、早い。だってまだ高校生だし、私たち寮生だし、キス以上のことなんか、できないって。
「まだ、キスしかしちゃダメです」
「……わかった」
わかってくれて良かった。安心したのに、大和田くんは私の頭をがしっと掴んで、また唇を重ねてきた。実験でもしているかのように、私の唇をあまがみしたり、舐めたり、吸い付いたり、好き勝手にもてあそばれた。
「ん、う、大和田、くん」
さすがに恥ずかしくて、息もしづらくてやめてほしくなってきた。大和田くんも息が荒いし、ちょっと怖い。
「雅…」
手に汗が滲んできて、苦しくてちょっと泣きそうになる。目を開けば大和田くんと視線が交わり、泣きそうなことがバレてしまった。
「わ、悪い、そんなつもりじゃ」
「悪くない、、大丈夫だから……もっと、しよ」
もう知らない。頭がおかしくなりそうだけど、今はただ、触れていたい。
二人だけの世界で、触れ合っていられるこの時間が、幸せすぎて怖かった。
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