殺し愛の準備
「はぁ?左右田先輩、なんでそいつ連れて来てんの?」
「愛する男の死を見届けたいんだと」
「うぷぷ、左右田先輩が愛とか口にすんの寒いんですけど!」
「うっせ!」
久しぶりに盾子ちゃんに会った。あの日、屋上で会って以来だった。
「盾子ちゃん、あの日、背中押してくれてありがとう」
「はい?」
「盾子ちゃんのおかげで、大和田くんと付き合えたようなものだよ。数日間だったけど、ものすごく楽しかった。おかげで、こうして死んだことにされて大和田くんと会えなくなって、すごく絶望的なの」
「そ。喜んでくれてよかった!ちゃんと好きだって言って抱き付いて服脱いだんだ!」
「ごめんね、キスまでしかできなかった」
「はぁ!?私があんなにアドバイスしたのに結局そこまで!?体許してもおかしくないくらいの期間与えてやったのに!」
盾子ちゃん、やっぱりそうだったんだ。私と大和田くんを絶望に染めるために背中を押してくれたんだ。盾子ちゃんの中では私が大和田くんに抱かれるところまでが目標だったみたいだけど、お互い純情すぎてそこまでいけなかった。
「ほんっと絶望的に奥手なんだから!」
「そのくらいしておけば、未練なんて残らなかったのにね…ほんとに、残念」
「まぁいいや。その未練引きずったまま、働いてくれるんでしょ?」
盾子ちゃんはスケッチブックを取り出して、私らに見せてきた。
「左右田先輩には、ここに描かれてる仕掛けを作ってほしいの」
「なんだこれ。おしおきマシーン…?」
「78期生全員分の、おしおき!来週から始まるコロシアイゲームの罰ゲームで使うから、急いで作ってね!」
「おいおい、時間無さすぎだろ」
「ほんとは一緒にシェルターに入ってもらって作らせようかと思ったんだけど、校内の映像は全国放送するから、左右田先輩みたいなよそ者が居るとゲームの邪魔なんだよねぇ」
コロシアイゲームって何なの。78期生みんなで殺し合いするの?
「やだ…大和田くんが他の奴に殺されなきゃいけないの?」
「うぷぷ、大和田なら心配しなくても殺す側の人間でしょ」
「お、大和田くんは人殺しなんかしない!」
「じゃあ殺される?それとも生き残るかもね?生き残ったら無事脱出できるから、あんたとも再会できるよ。超高校級の絶望になっちゃった天野雅先輩とね!」
そっか、私もう、大和田くんと会っても意味無いんだった。こんな私を見られるくらいなら、大和田くんには死んでもらった方がいいんじゃないの。私を見て大和田くんが絶望するくらいなら、大和田くんが死んで私が絶望する方が、いい。ああでも、私を見て絶望する大和田くんを見た方が、私は絶望できるかな。
「大和田が人殺し失敗したらこのおしおきマシーン使うから、好きな殺しかたがあったら左右田先輩と相談して好きにいじっちゃっていいよ。私は他の準備もあるから、期限までによろしく〜〜」
盾子ちゃんは楽しそうに笑いながら去っていった。
「やるぞ天野」
「…うん。左右田くんも、残念だね。せっかく盾子ちゃんがくれた機会に、ソニアちゃんじゃなく私と一緒に過ごすなんて」
「…ほんと、残念だな。まぁソニアさんはソニアさんで動いてんだからしゃーねぇだろ」
残念な私と残念な左右田くんでため息をつきながら、おしおきマシーンの製作にとりかかった。
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