貴方のために


部屋に戻って食事もとらずに寝転んで考え事をしていたら、いつの間にか何時間も経過していた。また憂鬱な明日が来ると思うと気持ち悪くて、動けずにいた。
すると突然、ガンガンと緊急警報が鳴り響いてきた。瀞霊廷内に侵入者有り、と聞こえて飛び起きた。藍染隊長が仰っていた旅禍のことだろう。
手柄をとって藍染隊長やみんなに認めてもらいたくて、急いで部屋を飛び出した。旅禍が何人いるか知らないが、一人くらい私がどうにかしてやらなきゃ。

緊急配備についたものの、城宮の姿は見当たらなかった。私が殴った程度の怪我で、四番隊に行ったか部屋で休んでいるかしているんだろう。

「香月くん」

空腹なこともあって最高に気分が悪かったところで話し掛けられて、つい睨むようにその人を見てしまった。しかし視界にいるのは藍染隊長だったので、慌てて背筋を伸ばして返事をした。

「は、はい!」
「…気をつけて」

藍染隊長はまるで壊れ物でも扱うかのように私の頭を優しく撫でた。他の人もいるせいなのかすぐにやめられてしまったけど、藍染隊長のおかげで少し心が軽くなった。

「ありがとうございます。大丈夫です」

勇気付けられたおかげで、自然と微笑むこともできた。そしたら藍染隊長も微笑み返してくれて嬉しくなった。
しかしまたすぐに真剣な顔に戻って、敵が来る方へと向き直った。
藍染隊長がいてくれれば私はまだ笑っていられることに気が付けた。藍染隊長の傍なら私は生きている実感が持てる。だったら私は、ただ藍染隊長のために頑張ろう。私の居場所を作ってくれる藍染隊長のために、藍染隊長の居場所である瀞霊廷を守ろう。

- 20 -

←前次→