殺すつもりで


旅禍たちは瀞霊廷に侵入して四方に散らばり、どこへ着いたのかが解らなかった。
五番隊の管轄では騒動も起こっていないし、異常が見当たらない。たぶんここは、ハズレだ。旅禍は全員、他の隊のいる方へと落ちたのだろう。だったらこんなところでじっとしているよりも、敵を探して討ち取った方が早く片付く。
無駄に広い瀞霊廷内を走り回っていたら、大勢が騒ぐ声がなんとなく聞こえてきた。騒いでいると言うことは、やっと当たりが居るということだろう。そのまま走っていたら周りの壁が壊れたり傷付いたりしていて、もう既に誰かが戦った後のようだった。

「い……一角さん!?」

傷だらけで倒れていたのは一角さんで、急いで駆け寄った。

「だ、大丈夫ですか!?これ、旅禍に…?」
「なんだ、香月か……こんな姿見られるなんてツいてねぇな」
「四番隊の人、呼びますね」

大分消耗している一角さんが心配で、伝令神機で四番隊へ連絡した。花太郎君に連絡したかったけど、きっとまた出てくれないだろうと思って、連絡先は四番隊の救護班のほうにした。

「あの、旅禍ってどんなやつでした?」
「…お前、やりあうつもりか?」
「そうです」
「悪いことは言わねぇ、やめとけ。お前が勝てるような相手じゃねぇよ」
「それでも、やらなきゃいけないんです。手柄を、とらないと…」

良いところを見せないと、私の居場所なんて作れなくなってしまう。絶好の機会なのだから、やらないと。

「…奴らは懺罪宮に向かってる。あっちに行けば旅禍に出会えるかもな」
「懺罪宮……」
「例の極囚を助けてぇんだと」

極囚を助け出すためにこの瀞霊廷に乗り込んだと言うのか?しかも数も多くないだろうし、そんな無謀なことをするなんて。

「でももう目的が割れてるなら……旅禍の一人や二人死んでも問題ないですよね」
「お前……」
「私、こう見えて戦うの好きなんですよ」

斬っても問題ない相手なら、斬ってしまえばいい。それだけで片付くんだから。何も考えず、斬るだけだ。
隊の斬れない死神を相手にするよりも百倍単純だ。

「無茶すんなよ」
「しますよ。しないと、手柄とれないですから」

一角さんが心配をしてしまうほどに、私は強くない。だからこそ無茶しないと、勝てるものも逃してしまいそうで。

「それじゃ、私急ぐので。すぐに四番隊の人来るので、安静にしててくださいね」

辺りを見回して懺罪宮の方向を確認し、そっちに向かうことにした。私の居場所のために、藍染隊長のために、殺してあげるから待っててね。

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