嘘か真か


「あれぇ、香月さん、こんなところで会うなんて奇遇ですねぇ!ここ、五番隊の管轄じゃないんですけど?」

旅禍に出会う前に城宮に会ってしまった。ついでに殺してやろうか。

「あなたに構ってるほど暇じゃない、どいて」
「あとちょっとであんたのこと追い詰めて潰せるとこだったのに、こんなことになっちゃって残念。みんな瀞霊廷護ることに必死になっちゃってさぁ。私のことも護れっての」
「あなたに護る価値なんて無いし、仕方がないでしょ」
「…はぁ?」

勘に障ったのか、城宮は余裕の笑みを浮かべるのをやめた。

「元から誰にも護ってもらえないから悔しいんですかぁ?」
「残念だけど、私には藍染隊長がいてくれる。何も悔しくない」

城宮は自分から突っ掛かってきたくせに、随分と余裕がないみたいだ。未だに私を叩き潰せていないことに苛ついているんだろう。

「藍染隊長のことなんか、何も知らないくせに!」
「…何?」
「ほんとにあんたの味方してくれてるだなんて思ってんの?藍染隊長、私に大人しくしろとかいじめるのやめろとか、そういうこと何も言ってきてないからね?私だって藍染隊長と二人っきりでお話いっぱいしてたけど、やめさせるつもりなんか無かったよ?ほどほどにね、って言うだけでさぁ!笑っちゃうよねぇ!」
「嘘だ」
「嘘じゃないから私が大人しくならないんですけど?」

どうにかしてくれるって藍染隊長が言ったんじゃないか。頼っていいって言ったじゃないか。あんなに優しくしてくれたじゃないか。

「どう?絶望した?あんたの味方なんか、誰も居ないんだよ」

嘘だ。藍染隊長は私の居場所を作ってくれるって、言ったじゃないか。こんな女の言うこと、本当なわけがない。それなのに、なんでこんなにも手が震えるんだ。

「あんたの大好きな日番谷隊長も山田七席も藍染隊長も、みーんな私が貰っちゃった。ごめんね?」
「…謝って、許されるとでも?」

こいつの言葉なんか、全部嘘に決まってる。いつもみたいに嘘を並べて人を騙そうとしてるだけだ。絶対にそうだ。

「生意気なことばっか言って、許されると思ってる?私さ、これでもあなたよりも上の席次にいるんだけど、その意味…理解してる?」

斬魄刀に手を掛ければ、城宮は後ずさる。この程度で怖いなら喧嘩なんか売らなければいいのに。

「今なら殺しても、旅禍のせいにできるよね」

鞘から刀を抜けば、びびったのか城宮は瞬歩で逃げ出した。追いかけて殺してやろうかとも思ったけど、追い掛けている姿を誰かに見られたらおしまいだ。惜しかったけど、やめておいた。

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