らんまかけるに
私の中には、一つの疑問が残っていた。あの決闘のとき現れた、チャイナ服の女の子だ。乱馬くんが居なくなりあの子が現れたことに何か意味があったのかどうかだ。
「どうしたの?難しそうな顔しちゃって」
「…ううん、なんでもない」
「そう?」
あかねはこの通り元気を取り戻し、というか前より元気になった気がするのは気のせいだろうか。良牙くんに大口叩いたこともあり、あかねが元気になってくれてよかった。本当によかった。
授業中、ちらりと盗み見る乱馬くんの斜め後ろ姿。よく思い出してみると、あのときのチャイナの女の子の服は、あのときの乱馬くんと同じで胸元が切り裂かれていたような気がしないでもない。それに乱馬くんみたいな口調だったし、おさげも一緒だし。
「黒野ー、次の問題解いてみろ」
「わかりません!」
「少しは解く努力をせんか!」
「すみません!」
私にとって授業の問題なんて問題ではない。今は、あの女の子が乱馬くんだったのではないか、ということの方が問題だ。そんな非科学的なことを考えるのも馬鹿らしいが、どう考えてもそこに行きついてしまうのだ。
だってあのとき殴るなら、どう考えても決闘をしていた良牙くんと乱馬くんを殴るべきだった。それなのに、あかねが殴ったのは良牙くんとチャイナの子。あかねが容赦無く女の子を殴るわけがないし、ということは、あかねはあの子の正体を知ってる?一緒に住んでるくらいだし、知っててもおかしくないのか?
「ねぇはるか、ちょっといい?」
「ん?」
「その……はるかって、乱馬のこと好きなの?」
「……そうなの!?!」
あかねにとんでもないことを聞かれて声を荒げてしまった。ごめんねあかね、一時でも乱馬くんに惹かれた私を許してください。まさかあかねに勘づかれるなんて思ってなかったの。
「だって…最近、乱馬のことばっか見てるじゃない?」
なんだ、そのことか。私の下心がばれたわけじゃなかったのか、危ない危ない。
「ちょっと気になることがあって…聞いてもいい?」
「いいわよ」
「…この前の、チャイナの女の子のことなんだけど。あの子……誰?乱馬くんの、何?」
聞いてはみたものの、あかねは言いにくそうに口を閉ざす。やっぱり何か秘密がある。無理に探る気はないが、秘密にされればされるほど、知りたくなるのが私の性だ。
「あれは、乱馬の双子よ!」
「…え?双子いたの?」
「そうなの!二人とも口の悪いとことか似てて嫌になるわよ」
「そっか…双子ねぇ」
言われてみればそうかもしれない。じゃああのときは、急に居なくなった乱馬くんの代理か?だとしても、うーん。
「ま、いいや。そういうことにしておくか…」
「あはは……」
あかねも隠しておきたいみたいだし、ずかずか踏み込むのはやめておこう。ちょっと寂しいけど、言ってくれる時を待とうかね。
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