セクハラ男子
保健室で一時間ほど休んだら、頭痛も引いたし姿も戻せて自然完治した。教室に戻れば真っ先に切島くんが駆け寄ってきてくれて、また心配してくれた。他の子達も心配してくれて、申し訳無いけど嬉しかった。みんなの優しさが、暖かかった。
「大神ー、大丈夫か?これやるから元気出せよ!」
珍しく峰田くんまで心配して来てくれて、優しいなぁと思いながら素直に手を差し出せば、何かを手のひらに乗せられた。
「うわああ!!」
お菓子でもくれるのかと思いきやそれは黒光りするゴキ何とかさんで、思わずそれを放り投げた。どーしたどーしたと皆が注目してくれるけど、峰田くんが悪質すぎて泣きそうになった。
「よっしゃ成功!」
前もこんなこと言われたような。頭を触れば獣耳が出てしまっていたし、背後でも尻尾の衣擦れの音がした。
「峰田くん……!」
「怒るなよ、さっきのただの模型だから!な!」
模型だとしても悪戯に引っ掛かってしまったことが悔しい。言い返すにも口喧嘩なんかしたこと無いせいで言い返せなくて、ただ悔しい思いが募る。峰田くんを睨んでいたら、後ろのドアから教室に入ってきた爆豪くんに「個性のコントロールくらいできろや」と言われ尻尾を勢いよく叩かれた。
「ひゃうっ」
そのせいで変な声が出てしまい、顔が熱くなる。思わず口を押さえて、つい爆豪くんの方を見てみれば、爆豪くんも驚いた顔で私を見ていた。
「変な声だすんじゃねーよ!!」
「ご、ごめ、」
「ちょっと、アンタら心音いじめるのやめなって」
「触られて困るモン出してんじゃねぇ!」
「だって、峰田くんが」
「個性コントロールできねぇのは自分のせいだろ!」
「爆豪!」
爆豪くんにもっともなことを言われてしまい、ショックを受けた。切島くんとの戦いで負けたのだって、峰田くんに悪戯されるのだって、言ってしまえば個性のコントロールができていないせいだ。
「まぁいいじゃん、俺大神の耳も尻尾も好きだし」
「はうっ」
いつの間に近付いてきていたのか、上鳴くんが私の尻尾を撫でていた。これ以上触られるわけにはいかず、くるっと回って上鳴くんの方に体を向けた。
「今日は水色!」
「まじかよ峰田ずりぃ!」
尻尾のせいでスカートがあがってしまっていたらしく、またしても峰田くんにパンツを見られた。
「こら」
響香ちゃんが上鳴くんを殴りにきてくれたし、梅雨ちゃんは舌で峰田くんをビンタしてくれていた。女の子達強い。
「個性のコントロール特訓、するなら私付き合うから言ってね。いつまでもそんなんじゃ馬鹿たちに狙われるだろうから」
「響香ちゃん…!」
「上鳴も、あんまりセクハラすると怒るよ」
「セクハラじゃねーって!俺はただ大神と仲良くしたかっただけで、」
「怒るよ」
「う、うぇい…」
上鳴くんの悪戯ってセクハラだったんだ。そうだよね、尻尾出ればパンツも見えるし、セクハラだよね。気を付けなきゃ。
- 6 -
←前・次→