水面下の三角関係
「なっ…ん、え!?まじか!?」
仕事終わりに切島に電話してみたら、ちょうど向こうも仕事が終わる頃だったらしく、居酒屋で待ち合わせた。到着した切島と乾杯し、すぐに電気との関係を暴露した。そしたらびっくりしたのか、乾杯の酒の一口目でむせていた。
「薄井いいのかそれで!?あの上鳴だぞ!?や、別に、薄井がいいならいいけど、まじか?」
やっぱり電気、皆からの評価が著しく低い。私もあの電気と付き合うなんてまさか思っていなかったし、皆もそうなんだろう。女をとっかえひっかえしているイメージがどうしてもあるし、私ももし電気が例えば響香と付き合うと言ったら、全力で響香を説得したと思う。
「響香にもびっくりされた」
「だろうな!俺もびっくりだ!」
「私もびっくりだ」
「ええ、じゃあなんで付き合ってんだよ」
切島の戸惑う表情がちょっと面白くてからかってしまう。
「電気さ、私がいい女だってやっと気付いたみたいでね。私となら、うまくいきそうだから付き合いたいって頼んできたの」
「そ、そんなんでいいのかよ」
「ちゃんとお互いに一晩考えたよ?でも考えても私の良いとこが出てくるだけみたいだったから、まぁいいかって付き合ってみることにした。私も電気と一緒に居ること自体は嫌いじゃないし」
「浮気されたらちゃんと別れろよ?」
「ふふ、解ってるよ」
響香も切島も、心配するところは同じだった。電気の素行の悪さには呆れるけど、二人も電気がいい奴なのもわかっているから仲良くしてくれているのだろう。
「試しに付き合ってみよって感じだったんだけどね、電気結構私のこと好きになってきてくれてるみたいだし、私も電気が可愛く思えてきたから、そこそこ順調」
「可愛い可愛いで全部許したらあいつ絶対付け上がるからな」
「気を付けるよ」
ちゃんと、今まで通り、叱るときは叱るようにしていかないと。
「けどよ、あいつやっと幸に惚れてること自覚したんだな。昔からどう見ても幸のこと好きだったのに彼女作るから意味解んなかったんだよな」
「え、切島から見てもそんな感じだったの?」
「誰が見てもそうだったろ」
やはり気付かなかったのは私と電気本人だけだったのか。私も電気も鈍すぎるのでは。
「まぁ薄井が轟好きそうだったから皆も上鳴に余計なこと言わなかったんだけどな」
「…待って、皆?ていうか、轟、え、」
「それも皆気付いてたぞ。てか、この際だから聞くけど轟のこと好きだったよな?上鳴でいいのか?」
やばい恥ずかしい。今さらだけどあの頃全部皆にばれてたのか。そんなに顔に出ていただろうか。
「べ、別に、顔が好きだっただけだし、未練も何も…」
「上鳴さ、あの頃ぼそっと俺に、薄井って轟のこと好きなのかなって聞いてきたことあったぞ」
電気にすら気付かれていただなんて。それもそうか。電気は私のことをよく見ていたのだから。
「あのときはめっちゃ焦ったな。どう見てもそうだけど、上鳴の感情が解らなすぎて答えられなかったし」
「…大変だったんだね」
「芦戸から聞いたけど、ほんとは薄井の応援して騒ぎたかったらしいけど、上鳴が気の毒だから全部見守ってたって」
「別にあの頃、電気本人すら私のこと好きって気付いてなかったんだから電気に遠慮せず私の背中押してくれればよかったのに」
「そしたら今頃薄井は轟の彼女だったかもな」
そんなの轟次第だから、解らないけど。でももしかしたら、そんな未来もあったのかもね。
「轟の表情も全然読めなかったしなー、今も彼女居ないしどうなんだろ」
「人の心配してないで切島も彼女作れば?」
「うっせ!そのうちできるからほっとけ!」
「えっ、あてはあるの?」
「…無いけど」
「なんかごめん」
飲みながら切島と色んな話をした。私の知らない電気の話を色々聞けて、楽しかった。
帰りは切島に、危ないからと家まで送ってもらった。
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