ヒロインに片想い



最近、あんまりみこりんと喋っていない気がする。
好きだと自覚してしまったせいで自分から会いに行けなくなった、というのもある。そしてもともとみこりんがA組の教室に来ることもないし、わざわざ一緒に帰ることもない。朝だって、偶然出会わなければ一緒に登校することもない。あとは、千代たちと何かしてるときに偶然会うか、原稿のお手伝いで会うかくらいだ。
みこりんと二人で喋る機会が、とても少ない。

「私はただ、貴方と二人で過ごしたいだけなのに…!」

台本の読み合わせで、私がヒロインの台詞を読んだら部員たちが静かになった。今の、そんなに酷かったかな。

「京極、今のすげー切なそうだった!」
「え?あ、ありがとうございます」
「ヒロイン役、もしかしたらやればできるのかもな」
「いやいや!私まだ、ほんとに、照れ屋なので…」
「あー、そっか…でも感情の出し方はいい感じだぞ。恋でもしたのか?」

堀先輩に軽く聞かれ、ふとみこりんを思い浮かべてしまって赤面した。やばい、ばれる。

「冗談で言ったのにまじか。まぁ、応援するぜ」

恥ずかしくなって台本で顔を隠したのだが、頭をポンポンと撫でられた。堀先輩なら私の好きな相手がみこりんだということも気付いていそうで、余計に恥ずかしかった。

「あー!椿ちゃんずるい!部長私の頭も撫でてください!」
「屈むな!!鬱陶しい!!」

堀先輩も応援してくれるわけだし、もう少しみこりんと会う時間を増やそうかな。朝の時間をみこりんが居そうな時間と車両に合わせて、帰りも誘って、あわよくば昼御飯も誘って、あと一緒に野崎くんの家に行って、G組の教室にもなんとなく通って…

「あっ、響ちゃんの二の舞になる!」
「何を考えてたかは聞かないでやるが…押してダメなら引いてみろって言うだろ」
「…要するに、響ちゃんと攻略方法は同じってことですね!?」
「…どうだろうな」

しかし今、充分に引いてる状態だと思うのに。なんでみこりんは会いに来てくれないんだろう。って、みこりんが私を好きになってないからか。うわ、なんかすごい悲しい。

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