心の壁



授業で出された課題を一人でやっていたのだけど、どうしてもわからない問題があったから檜佐木くんに教えてもらおうと思って檜佐木くんを探した。
他の子に聞いてもいいんだけど、友達と呼べるような人は少ないし、友達の中で一番頭が良くて一番仲が良い檜佐木くんに聞くのが早いと思った。
次の授業のある教室に行ったら檜佐木くんの姿があった。けど友達と喋ってるみたいだし、話が途切れたら聞きにいこうと思ってこっそり近付こうと思った。

「そういえばさー、最近檜佐木あいつと仲良いじゃん、一色だっけ?」

うっかり聞こえてしまった話の内容に、なぜか私の名前が出てきて立ち止まってしまう。いや、盗み聞きとかそういうわけじゃないけど。でもつい、気になってしまった。

「檜佐木ってああいう女がタイプなのか?なんかもっと大人の女とか好きなのかと思ってたけど」
「そんなんじゃねーよ。あいつ剣術すごいだろ?だから、特訓付き合ってもらう代わりに勉強教えてるだけだ」
「ほー、手取り足取り教えてもらってんのか」
「変な言い方すんじゃねーよ」

男子の話ってあんまり聞きたくないな。立ち去ろうかな、と思ったけど、檜佐木くんの声が私を引き留めた。

「あんな頭の悪い女、好きになるわけねーだろ」

事実だけど、悲しくなった。別に好きになってほしいなんてこれっぽっちも思ってないけど、わざわざ言われて傷付いた。
もうすぐ授業の始まる時間だったけど、私は教室を出た。
他の人に悪口言われても気にならなかったけど、仲良くしてる檜佐木くんに言われるのは違った。私がいないところだからって、あんな言い方しなくてもいいのに。


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