守りたい
檜佐木くんのおかげで試験の順位が毎回上がって、進級だって無事にできた。勉強の成績さえ人並みになってしまえば、馬鹿にされることも無くなった。何ヵ月も何年もお世話してくれた檜佐木くんには感謝をしてもしきれない。
「おい一色!檜佐木がっ…!」
この数年で、私の中で檜佐木くんはとても大事な存在になっていた。そんなとき、檜佐木くんが現世へ魂葬実習へ行って虚にやられたという報告を受けた。びっくりして心臓が止まるかと思った。
檜佐木くんが運ばれたという救護詰め所に急いで向かえば、顔の半分が包帯で覆われた檜佐木くんがベッドに横たわっていた。
「檜佐木くん!」
もう目を覚まさないのではないかというくらい顔色が悪くて、戸惑った。けど檜佐木くんはうっすらと左目を開けて私を捉えた。
「何つー顔してんだ…俺死んでねぇぞ」
「生き返った!」
「だから死んでねぇって、」
会話ができたことに安心して、檜佐木くんに抱き付いた。あぁよかった、ちゃんと心臓の動いてる音がする。
「勝手に死なないでよ馬鹿!」
「死んでねぇって言ってんだろ馬鹿、何回言わせんだ」
「だって!顔死んでる!」
「…これなら怪我しただけだ。異常はねぇって」
「…ほんと?目見える?ブスが悪化したりしてない?」
「元々ブスじゃねぇだろ、殴るぞ」
殴ると言うわりには檜佐木くんは優しく頭を撫でてくれた。
「満足したなら離れろ。…さすがに、恥ずかしい」
顔をあげて周りを見てみれば、救護の人の他に学生も部屋にいた。なぜ先に気付かなかったのか。
「俺の班の蟹沢は殺されちまった…。俺も危なかったんだが、そこの三人のおかげで助かったんだ」
「…そっか」
蟹沢ってたしか、檜佐木くんの班の女の子か。あともう少しで霊術院卒業だったのに…。
「…檜佐木くんのこと、助けてくれてありがとね」
「いえいえ、そんな… 」
やっぱりこの世界で生きていくためには、強くないといけない。簡単に死にたくないし、大事な人を死なせたくもない。だったら私が強くなれば、自分や仲間が殺されることを防げるかもしれない。
今回だって、私がもっと優秀で、檜佐木くんじゃなく私の班が引率に選ばれていたら。檜佐木くんを傷つけることもなかったのに。
「俺は大丈夫だからそんな顔すんな」
「…どんな顔?」
「ブサイクな顔」
「ごめん…」
「いや、謝るなよ、冗談だし…」
檜佐木くんには悪いけど、やっぱり私は勉強よりも剣術や体術を極めるよ。もっと、純粋な強さが欲しい。
檜佐木くんは優秀だから、卒業前なのにもう護廷十三隊への入隊が決まっている。檜佐木くんと私は得意なことと苦手なことが正反対だから、私の配属が決まってもきっと違う隊になるだろう。少し寂しいけど仕方がない。
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