生徒会長



「楓はfineの面倒はみてくれないのですか?」

ふとした瞬間にそんなことを渉くんは聞いてきた。私の口が悪かったら、馬鹿じゃねーの!?と言っているところだった。

「いやいや、fineのどこに何をしろって?もう完璧じゃん」
「完璧ではありませんよ。トップにいることは間違い無いですが、姫君や執事さんはまだアイドルとしては未熟ですからねぇ。見応えあると思いますよ?」
「…いや、いいよ、天祥院さんが手伝ってって言ってくるなら動くけど…、渉くんの思い付きでfineに手は出せないよ」
「おやおや、新米プロデューサーが皇帝直々にお願いしてこいなんて随分と強気ですねぇ」
「茶化さないでよ」

正直、あの人は怖い。去年、五奇人が壊されていくライブを私はすべて観に行っていた。あの天祥院さんと渉くんが今一緒に組んでいることも謎だし、不可解すぎてあまり関わりたくない。

「もしかして、まだ英智と喋ったことないんですか?」
「ないよ、そんな機会が無い」
「でしたら放課後、英智と会わせてあげますね」

いや断りたいんですけど。なんて酷いことを言えるわけもなく、放課後本当に、なかば無理やり背中を押されて私は生徒会室に連れてこられていた。


「こんにちは英智!今日は折り入ってお話があったのでお邪魔させてもらいますね〜」
「渉のことを邪魔だなんて思わないよ。弓弦、お客様にお茶を」
「かしこまりました」

生徒会室の雰囲気は、なんだか落ち着かない。装飾や置物から、天祥院家の財力を見せつけられている感じがした。
天祥院さんの他には、1年生の可愛い子と、物静かな雰囲気の2年生と、あの大好きだったデッドマンズの敬人くんがいた。あの頃の舞台上と雰囲気が違いすぎてびっくりする。

「プロデューサーを連れてきたということは、fineに関するお話かな?」
「楓を演劇部に入部させたいんですが、プロデュース科の生徒も入部させてもいいか聞きに来ました」
「え、私に断りもなく?」
「今でも演劇お好きでしょう?入らないでいる理由が無いじゃないですか。人手が足りないので手伝ってもらえるととっても助かるんですがねぇ」

てっきり私もプロデュースの話をしにきたと思っていたから驚いた。渉くん絶対私を驚かせたかっただけだ。

「渉がそうしたいなら構わないよ。プロデュース科に関する校則は今のところ無いからね」
「ふふふ、ありがとうございます。入部届は後で書いてもらいましょうか。話は今度こそfineのことなんですがいいですか?」

演劇部に入部するしないの話をする前に、話題を変えられてしまった。

「そのことなんだけど、fineはアイドル活動に関する全てをプロにお願いしているから、プロデューサーに手伝ってもらう仕事は無いんだ、申し訳ないけどね」
「どうしてもだめですか?」
「楓ちゃんがプロデューサーとして慣れて、もう少し成長したらそのときはお願いしようかな」

優しい物言いではあるけれど、お願いがもしこなかったら、成長してないだろと無言の圧力をかけられる状態になるということだ。怖すぎる。聞かなきゃよかった。

「それに、プロデュースしてもらうならもっとお互いを知ってからにしたいな。今度ゆっくりとお茶でもしようか。僕は紅茶部に所属していてよくガーデンテラスで活動をしているから、いつでも遊びにおいで」
「あ…はい」

天祥院さんと喋っている間、1年生の子がずっと可愛く睨んでくるし、無言で事務処理をする敬人くんも怖いし、なんだかすべてが怖かった。


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