超高校級の相談窓口



今日の採集は山にあてられた。久しぶりに、日向くんと一緒だった。

「悪いな、こんな大変なとこに付き合わせて」
「大丈夫だよ、昨日休ませてもらったから元気だもん。気にしないで」

正直言うと私も狛枝くんや蜜柑ちゃんみたいに掃除ばかりしていたいけど、そう何人も掃除に必要無いから私は採集に出向くしかなかった。

「ちゃんと元気そうでよかったよ。最近…アイツの様子がおかしいから、遠野に迷惑かけてないか心配でさ」
「アイツ?」
「狛枝だよ」

あぁ、と納得する。たしかに狛枝くんの様子はおかしい。クラスメイトだから仲良くするのは当然だし、普通に仲良くしているつもりなのだけど、狛枝くんは他のみんなと何かが違った。何か、よくわからないけど。

「…ストーカーされたりしてないよな?」
「えぇっ、大丈夫だよ。それに狛枝くんそんな嫌がらせするような人じゃないんじゃない…?」
「だといいけど…。まぁ、遠野が大丈夫って言うならきっと大丈夫だろう」

私、狛枝くんに目をつけられるようなことしたっけ?採集だって滅多に被らないし、他の子と遊ぶことの方が多いのに。

「困ったら言ってくれよ、力になるし。俺だけでなく、たぶん左右田もな」
「う、うん、困ったらね?でも、狛枝くんにそんな困らせられることは…」
「デートしようって皆の前で言われて困ってただろ」
「…それは、うん、そうだね」

たしかに困らされていた。デートに誘うならもう少し恥じらいをもって欲しい。今度左右田くんにもそうやってアドバイスしとこうかな。余計なお世話とか言われるかな。

「まさかあの時左右田が助け船を出すとは思わなかったけどな」
「だよねー。デートって名目で遊ぶの嫌だったからなんとかして逃げたかったし、ほんと助かったよ。でもあの時、左右田くん誰かと出掛ける約束してたっぽかったんだけど…結局大丈夫だったのかな」
「気にするなよ。それ、俺だし」
「えっ」

サァ、と血の気が引いた。やっぱりあの時、左右田くん約束あったんだ。しかも日向くんとだったなんて。

「ご、ごめんね!?私が困ったばっかりに…!」
「いいって。左右田が遠野のために動いたことだし、怒ったりしてないから」
「…私のため、か」

ありがたいけど、なんだか少しむずがゆいというか、恥ずかしい響きだ。左右田くんが私のために動いたと思うと、照れ臭さを感じる。

「実際…狛枝にデート誘われて、どうだった?」
「えっ?」
「デートとか、狛枝のことそういう目で見てないっていうならまたあんなことになったら俺も助けるし、満更でもないなら、温かく見守るけど」

なんだろうこれ、自然な流れで恋バナになってるのかな?うわ、恥ずかしい。でもごめん、かっこいいとは思うけど、好きとかじゃないよ。

「次があったら、今度は自分で何とかするから大丈夫だよ。どうしようもなかったら、日向くんのことも頼るかもだけど」
「そうか、わかった」

相談窓口の人みたいな日向くんは優しくて頼りになる。困ることなんて起きない方がいいけど、起きてしまったら頼らせてもらおう。

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