ギブアンドテイク
今日は誰かと約束をすることもなく、一人で過ごすことにした。暇を潰すための何かが欲しくて、私はこれまで拾い集めたモノクマメダルをポケットに詰め込んで、砂浜に向かった。
ゲーム機があると千秋ちゃんが言ってたなぁと考えながら、モノモノヤシーンにメダルを入れた。しかしいくら回しても、私の目当てのゲーム機が全然出てこなくて、いらないものの山が大きくなっていった。
「遠野、何してんだ?」
ポケットが空になってしまって途方に暮れていたら、ふいに声をかけられた。
「左右田くんこそ、どうしたの?」
「見りゃわかんだろ、暇してんだよ…」
またソニアちゃんに誘いを断られたのだろうか。私の足元に詰み上がったガラクタの山を見ながら左右田くんは近付いてきた。
「こんなにいっぱいどうすんだよ」
「どうしよう。こんなにやってもゲーム機出なかったし…困ったな」
「なんだ、ゲームやりたかっただけなのか?」
「うん。でももうメダル無いし、諦めるよ」
「俺ゲームならこの前日向に貰ったし、一緒にやるか?」
ずるいよ日向くん、私にはエプロンドレスとかアンティークドールみたいな可愛いものしかくれなかったのに。まぁ、それも嬉しかったけど。
「やりたい!」
「じゃあ今から俺の部屋来るか?」
「行きたいけど、これ片付けなきゃ…」
「…それもそうだな。ならゲームは明日にすっか」
「そうだねー」
って、明日?そんな簡単に約束を取り付けていいの?ソニアちゃんのこと誘いにいったりとか、しなくていいのかな。
「よし、じゃあこれどうにかすっか。遠野の部屋に運ぶか?ポイ捨てしたらあのうさぎにどやされるしな」
「そうだね、部屋が物置小屋みたいになりそうだけど…」
「ん?これ…」
左右田くんはガラクタの山の中から何かを見つけたみたいで、しゃがんでそれをかき分けた。
「リリエンタールの翼じゃねーか!」
「あげよっか?」
「は?い、いいのかよ?」
「うん、私使わないものだし」
「え、あの、じゃあ、こっちのラジオとか…」
「欲しいならあげるよ」
「本当にいいのか!?」
左右田くんは驚きながらも、それらを手にとって目を輝かせた。そんなに喜んでくれるなら、何だってあげるよ。
「オメーいいやつだな!ありがとな!」
「どういたしまして」
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