ぎじゅつ


「虚狩り!?行きたい行きたい!僕が行くよ!やるよ!」

そう意気込んで、席官の人と虚狩りの任務へと出向いた。惣右介に少し心配されたけど、僕と席官とで虚を倒すことができた。でもやっぱり僕はまだ始解もできず、足手まといになってしまって、怪我だってしてしまった。

「御門くん、大丈夫!?」
「えっ!?うん、大丈夫大丈夫!あの、これ、義手なので!」
「でも血が…早く戻って四番隊で見てもらおう」
「だだだ大丈夫です!このくらいで死なないので!」

左腕が本来曲がらないところが曲がってしまっていて、青い顔をされてしまう。腕だけでなく、死覇装も袖はボロボロになってしまっていた。
瀞霊廷に戻ってから四番隊に連れて行かれそうになったけど、謝ってから瞬歩で逃げるように技術開発局へと向かった。


「涅隊長〜〜っ」

義手を壊したのは初めてだったから、怒られること覚悟で涅隊長に会いに行った。

「なんだネ?」
「く、くろ、涅隊長、あの、左腕…壊しちゃって……」

せっかく作ってもらったのに壊してしまった罪悪感から、泣きそうになってしまう。

「ご、ごめんなさい!僕が弱くて不甲斐ないからこんな風にしちゃって、」
「そんなつまらない言い訳は後だ。さっさとなおすヨ」
「な……なおるの?なおしてくれるの?」
「私にできないことがあるとでも?私を誰だと思っているのかネ」
「…涅隊長」

涅隊長のことだから激怒すると思ったのに、そんなこともなくなおしてくれるなんて。

「解ったら早く実験室へ入りたまえ」
「は、はい」

壊れた左腕を引っ張られて実験室へ連れ込まれるが、そんなことをされたせいで激痛が走った。なおしてもらうんだから文句は言えず、泣き言を漏らさない代わりに涙を流した。
荒々しく椅子に座らされ、実験台の上に左腕を置かされて、僕の体は椅子に固定されてしまった。

「ねぇ、治すってどうやって……」
「ネム」
「はい」

ネムちゃんは僕の左肩に注射を射した。なんとなく腕の痛みが麻痺してきたことで、それが麻酔だと気が付いた。
これから何をするのか知らないが、怖いから意識が飛ぶくらいの麻酔をしてほしかった。そんなことを思っていたら、目の前を銀色の刃物が通り過ぎ、僕の左腕に落とされた。

「うわあああああ!!!」

まだ麻酔が完全には効いていなくて、左腕を切り落とされる感覚をまた味わうことになってしまった。逃げ出したいと思ったけど、固定されているせいで少しも動けなくて怖くなった。

「このゴミよりも丈夫で質の良い腕は前から用意してあったんだ。感謝することだネ」
「マユリ様、こちら右腕と比べて若干大きいようなのですが、どう致しますか?」
「そんなものコイツが成長すれば同じになるだろう?構わんヨ」

ネムちゃんは容器の中で液体に浸されている腕を実験台の上へ置く。これを今から僕に取り付けるんだろうけど、なんでその様子を見ていなきゃならないんだ。

「御門さん、顔色が悪いようですが」
「あっ…当たり前じゃんか、こんなやりかたで…」
「うるさいヨ。ネム、黙らせろ」
「はい。…穿点」

そんな便利なもの使えるなら始めからやってよ、と心の中で文句を言いつつ、僕は意識を手放した。

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