ひなもり


「ちょっとくらいいいじゃん?お茶なら俺がおごってやるからさぁ」
「あの、でも私…」
「何?嫌だってーの?」

変な男に絡まれる、明らかに嫌がっているだろう女の子の姿を見つけた。無理矢理誘われて迷惑しているに違いない。

「ちょっとおじさん。その子嫌がってるでしょ、やめたげてよ」
「ああ?何だ嬢ちゃん……坊っちゃん?嬢ちゃん?まぁどっちでもいいか。ガキは引っ込んでろよ。それとも一緒に遊びたいか?」

汚い笑顔で僕の腕を掴んできた。逆の手でおっさんのその腕を掴み返し、思いきりおっさんをぶん投げた。ガキだと思って油断したおっさんが悪いんだ。

「ガキに負けるなんて、恥ずかしいおじさん。行こ」

おっさんが目を覚まさないうちに、絡まれていた女の子の腕を引いてその場を離れた。

「大丈夫?」
「あ、はい!大丈夫です。ありがとうございます!お強いんですね」
「僕これでも十年以上死神やってるしねー。君は?」
「私は、今年から五番隊に入りました。雛森桃って言います」
「え?僕も五番隊だよ。じゃあ桃ちゃん僕の後輩ってことだね!よろしくね!御門先輩って呼んでくれて構わないからね!」
「よ、よろしくお願いします!御門、先輩」
「うんうん!」

こんなところで五番隊の新入りちゃんに会えるだなんて、嬉しい。さっそく先輩面できたし満足だ。

「席官じゃないからあんまり威張れないけど、先輩ではあるから困ったら何でも言ってね!頼ってくれていいからね!」
「はい!ありがとうございます」
「桃ちゃん今からご飯だった?」
「そうです。このあたり美味しそうなお店いっぱいあったので何処にしようか迷ってたんです」
「じゃあ僕がおすすめのお店連れてったげるよ!……って、これじゃなんだかさっきのおじさんとあんまり変わんないね。ごめんね。ご飯ご一緒してもいい?」

嫌だったら断ってくれてもいいと思って、控えめに聞いてみた。でも桃ちゃんは嬉しそうに笑ってくれた。

「ぜひご一緒させてください!」
「良かった〜。じゃ、行こっか!」

修兵とはまた違う、本当に可愛い後輩ができた。嬉しいし可愛いし、なるべく可愛がってあげることにしよう。

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