がっこう


真央霊術院に入学してみると、京楽おじさんの言っていた通り僕よりも年上の人たちばかりだった。
僕は頭が弱かったから、入学するまで、二年かけておじさんたちに色んなことを聞いて教えてもらって勉強して、それから入学試験を受けてやっとのことで入学できたのだ。
その知識のおかげで授業にはなんとかついていけたけど、おじさんたちに教えてもらっていないことは難しくてさっぱり頭に入らなかった。
悔しくていっぱい勉強したけど、僕の弱い頭では覚えられることに限界があって、初めての試験ではあまり良い点が取れなかった。おかげで僕をガキ扱いしてくる奴がいて最高に苛立って猛勉強してやった。そしたら次の試験ではすごい上位にくい込んで、クソガキ扱いしてくる奴は大幅に減った。

「御門ー、次武道場だぞ」
「うん!すぐいく!」

勉強もすれば楽しくて、優等生だとちやほやされたり、仲良くしてくれたりする人もいっぱいできて、めちゃくちゃ順調だった。
そして、斬拳走鬼のうち、苦手なのは体術だけになっていた。剣術も歩法も鬼道もそれなりにできたのだけれど、やはり僕がクソガキである事実がある限り力の差が露になり、体術では人より劣っていた。
どんなに悔しくていっぱい特訓したって、体格差があったりすると全然ダメだった。

「御門くん!」
「ん?」

突然呼び止められて振り向くと、僕よりも年上だろうけど小柄な感じの女の子だった。次の授業に遅れたくないけど、無視するわけにもいかなくて足を止めた。

「どうしたの?」
「あの、私最近御門くんのことが気になってて、その…好きです!」

女の子に告白されたことは少なからずショックだった。自分だって女なのにと思ったけど、かっこいい死神になりたいという目標が少し叶ったような気もしてしまって、複雑な気持ちだった。

「僕はまだ学生だし未熟だから…君に何かあっても君を守ることができないよ。だから僕は早くても死神になって力をつけるまでは恋人はつくれないんだ、ごめんね」
「…そっか」

少なくとも僕が彼女を作ることは一生無いだろうし。女の子への憧れなんて無いから女の子らしくするつもりも彼氏をつくるつもりもない。僕は強い死神の傍にいられるならそれだけでいい。

そう思って過ごしていたのに、2月の中旬にもなるとなぜか女の子たちがこぞって僕へお菓子をたくさんくれて、なぜか男たちには恨めしそうに見つめられた。意味が解らなくてお菓子を貰える意味を何人かに聞いてみたけど、その日だけはなぜかみんなが冷たくて何も教えてくれなかった。

- 5 -

←前次→