かわいい


「御門さん!!あの!!これ!!ちょっと!!」

真面目に執務をしていたら、恋次のやつが騒がしく執務室にやってきた。朝からよくもそんなに騒げるものだ。

「落ち着いた日本語でしゃべってくれないとわかんないよ」
「写真集買いました!」
「あ、発売日か。ありがとー。僕が可愛すぎたから落ち着かないの?」
「そうっすよ!!!御門さん女だったんすか!?」

恋次が写真集片手に混乱ぎみにそんなことを言うものだから、執務室にいた他の死神たちがざわついた。

「そうだよ」

潔く認めれば、みんなしてざわついて僕について喋り出した。
僕はこの写真集で、自分の性別をさらけ出すことにした。だから撮影のときに、現世のスクール水着というものやセーラー服というものを着て撮影してもらった。死覇装などの着物と違い、肌の露出が凄まじかったせいで、僕の女らしさは完璧に写真に映し出されていた。

「阿散井、それ俺にも見せてくれよ!」
「俺も見たい!」
「俺も俺も!」

席官たちまでそんな感じで恋次に群がり、仕事どころではなくなってしまった。
そして改めて、僕の色んな顔、色んな姿が大勢に見られているのだと思うと恥ずかしかった。乱菊さんや市丸隊長は僕以上に大量の写真を撮られているし、この恥ずかしさによく耐えられるものだ。

「確かに女だな……」
「死覇装脱いだらこんなんなのか」
「写真集と僕を見比べるのやめてくれる!?仕事してください!」
「御門さん、今度の夏、みんなで現世の海に旅行行きましょうよ」
「みんなが行くなら僕は留守番して仕事片付けるから行ってらっしゃい!!」

男だなんて誤解を解くためとは言え、水着を着たのは軽率だったかな。なんでこう、後悔しちゃうかな。性別明かすのにもうちょっといい方法考えればよかった。

「でも急に女とか言われても、全然違和感無いよな」
「というか今まで男だってことに納得してた方が違和感あるんじゃないか」
「あ……あの、今まで騙しててというか、隠してて、ごめんなさい」
「気にすんなよ。性別なんか、死神やる分には何も関係無いしさ」
「そーだよ。むしろ女って分かってほっとしたよな。俺ら陰で御門のこと可愛い可愛い言ってたし」
「あ、ありがとう?」

よかった、なぜかみんな怒らない。何年もずっと嘘ついてきたようなものなのに。みんな優しい。仲間って素晴らしい。

「恋次、俺の分の写真集買ってきてくれ」
「あ、じゃあ俺のも」
「はぁ!?嫌っすよ、なんで俺が」
「俺らが全員自分で買いに行ったら仕事する奴がいなくなるだろ!売り切れになる前に人数分早く買ってこい!仕事さぼって写真集買いに行ったこと許してやっからよ!」
「ちくしょう!」

- 58 -

←前次→