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「君さぁ…僕に何か言いたいことでもあるわけ?」
最近、阿散井がうざい。幸実ちゃんに避けられたあの一件のとき、彼女が阿散井に何かしら話したせいだとは思うのだが、あれ以来、阿散井の視線を感じるようになった。
あれからまた幸実ちゃんは十一番隊に来るようになって、阿散井にちょっかいかけたりみんなに可愛がられたりして仲良くしているのだが、彼女と僕が会話していると、ふと気付くと阿散井がこちらを凝視していたり。目が合えばすぐそらすし、馬鹿みたいにぎこちなくなる。そのくせ幸実ちゃんが帰ってからも僕に何を言うわけでなく、ただお疲れ様と言って帰っていく。
正直うざいし、気持ち悪い。
「べ、別に、無いっすよ」
「それで誤魔化せると思って?僕が美しいからつい目が奪われるのは解るけど、君が僕を見るの、幸実ちゃんがいるときだけだろう?」
「それは…」
「それは? やっぱり何か理由があるんだろう?」
自分よりも身長の高い阿散井を脅すのに、見上げなければならないというのが腹立たしい。脅せばびびるけど、図体でかいくせにびびるなと言いたい。
「…ただ、その、弓親さんって、夏目のこと好きなのかな〜…と思いまして…」
「で? 気になったから観察してたの? それで、それを知ってどうするつもりだったの?」
「どうかしようってわけじゃなくて、ただ、興味本意で、」
「その程度で、人の恋心を知っていいものだと思ったのかい?」
自分で恋心だなんて言葉を口にしてしまって驚いてしまう。僕にそんな可愛い心があっただなんて。
「き、気にしないようにしようとは思ったんすけど…。その、夏目って結構、モテるんすよ。だから、もたもたしてると危ないって、言おうかどうかずっと迷ってて」
「…阿散井のくせに、僕に忠告だなんて生意気」
「すみません。でも、うちの隊の奴らでも夏目のことデートに誘ってる奴結構いるみたいで。あと、他の隊の奴らにも声かけられたりするみたいで」
「…それ、幸実ちゃんに聞いたの?」
「そうっす」
阿散井が気の知れた相手だからこそそんな話をするのだろう。羨ましいとか思うけど、僕もその幸実ちゃんを狙う男のうちの一人だからそんな話を聞かされることがないのだろう。
「…ていうか、他の隊のって、檜佐木副隊長とかのことかい?君の仲良しの先輩なのに、恋路を応援してあげないんだ?」
「いや、だって、夏目にその気が全く無いみたいで、しつこいって愚痴も聞かされるんであの人をすすめることも応援することもしづらくて…」
「へぇ…それなのに僕にはこんなこと話してくれるのって、僕なら大丈夫って、端から見てて思ったからだよね?」
「あ…まぁ、そういうことになるんすかね。…余計なお世話かもしれないんすけど、この前夏目に、弓親さんのことどう思ってんのか聞いたんすけど…、」
こいつ何余計なこと聞いてくれてんだ。
「…聞きたいっすか?」
「何焦らしてんの、早く言え」
阿散井のくせににやにやしながら僕を見下ろしてくる。こいつ、そのうち殴ってやるからな。
「どうも思ってないって、」
「え」
「…そう言いながら、顔真っ赤にしてましたよ」
赤面する幸実ちゃんの顔は見たことがあるから、安易に想像がついた。おかげですごく、嬉しかった。
「それで、弓親さんどうするんすか?」
「そうだなぁ…阿散井がうざいから、しばらく黙ってようかな。俺のおかげで弓親さんが動いたぞーとか思われるのうざいし」
「勝手な想像でうざいうざい言わないでくださいよ」
「だってうざいんだもん」
「弓親さんがだもんとか言っても可愛くねぇっすよ」
腹が立ったので阿散井の脛を蹴っておいた。
まぁでも、幸実ちゃんがそんな可愛い反応を見せてくれるんだったら、早く動いてもいいのかな。
ただ、この関係を壊してしまうんじゃないかと、怖くもなるけど。
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