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少なくとも僕は、毎日が楽しみだったし、実際楽しかった。だけどそんな僕とは反対に、日に日に元気をなくしている幸実ちゃんの姿があった。
「おい夏目!ぼさっとすんな!」
「え?…あ、すみません!」
いつも真面目に特訓して、集中して頑張っていたのに、一角に怒鳴られるようになってしまうなんて。
どうにも調子が悪いのか、幸実ちゃんは習練場の隅で見学していた僕のところまでやってきた。
「どうしたの?」
「…いえ、なんだか、集中できなくて」
なんででしょうね、と呟いて、物憂げな表情でみんなの特訓風景を眺めた。
「何かあった?」
「…いえ、特には」
目も合わせずそんなことを言って、何も無いようには見えやしない。僕には言えないのか、と少し寂しくもなる。
「…私、ここにいて、迷惑じゃないですか?」
「迷惑だったらとっくに追い出してるよ。今さらどうしたの?」
「…いえ、何でもないです」
僕だから言えないのか。ここだから言えないのか。
「ごめんなさい、やっぱり今日、調子悪いので帰ります。辛気臭い奴がいたら、迷惑だと思うので」
「だから迷惑なんかじゃないって」
「また明日、来るので。…弓親さんに、会いに」
嬉しいことを言われているはずなのに、幸実ちゃんの顔が楽しそうでもなんでもなくて、僕まで釣られて悲しくなった。
「僕はいつでも待ってるよ」
「…ありがとうございます」
ほぼ毎日会っていたのだから、もっと早く声をかければよかった。元気が無いどころの騒ぎじゃない。優しい言葉でもかけてみたら、それだけでも崩れてしまいそうな弱々しさだった。
翌日、言われた通りに待っていたのに、幸実ちゃんは習練場に姿を現さなかった。
忙しくて今日は行けない、と阿散井に連絡があったみたいで、阿散井から僕に伝えられた。
どうして僕じゃなく阿散井なんだ。そんな言葉を阿散井にぶつけそうになり、慌てて口を閉じた。
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