「楽しいね恋次くんっ!!」

遊んでもらっている子供のような無邪気な笑顔で、幸実ちゃんは阿散井と竹刀を交えていた。一方阿散井は、やりにくそうに幸実ちゃんの攻撃を弾いたり避けたりしていた。

「弓親、なんであいつ女とやりあってんだよ」
「やっと来たのかい、一角。僕がけしかけたんだよ。なかなかやるでしょあの子。あれでも阿散井、六席なのに」
「…負けたらヤキ入れてやるしかねぇな」

阿散井が攻めても、幸実ちゃんがすばしっこいせいでほとんど避けられてしまう。

「がんばれ幸実ちゃーん!!」
「阿散井なんかぶっ倒せー!!」

しばらく交戦が続いていたが、幸実ちゃんが応援されるヤジが飛ばされると、阿散井のカンに触ったのか、渾身の一撃が幸実ちゃんの体に与えられた。
幸実ちゃんはその勢いで飛ばされ、背中を床に打ち付けた。やり過ぎたと反省したのか阿散井がハッとして歩み寄ると、幸実ちゃんは勢いよく立ち上がり、竹刀を振りかざした。

「やべっ、」
「あ……きつっ」

しかし幸実ちゃんの動きは止まり、床に膝をつき、そのまま崩れるように倒れてしまった。

「おいっ、夏目!」
「痛い…」
「阿散井てめー幸実ちゃんに怪我させてんじゃねーぞ!」

ヤジの飛ぶなか僕も幸実ちゃんに駆け寄ってみれば、腹部を抑えたまま動けなさそうだった。

「負けちゃって残念だったね」
「体が鈍ってたんです…」
「鈍ってなかったら勝てたの?」
「…」

死神の女の子が席官の男に負けてここまで悔しがるなんて。負けず嫌いなのかな。

「そんなに痛いなら四番隊行くか?」
「…一人で行く」

幸実ちゃんは起き上がろうとするのだが、痛みで動きを止めてしまった。

「幸実ちゃん、おんぶとだっこどっちがいい?」
「!?な、なにを、」
「連れてってあげるって言ってるんだけど」
「そんな、弓親さんに迷惑かけられないです…!それに、今汗だくだから、弓親さんに触れないです」
「そ、そうっすよ、俺がこいつのこと四番隊まで連れて行くんで弓親さんは…」
「女の子一人運ぶくらいどうってことないよ。ていうか、汗だくの阿散井に運ばれるより、美しい僕に運ばれた方が幸実ちゃんも癒されるでしょ」

いつまでもここで痛みに耐えさせるのも可哀想で、早速幸実ちゃんの背中と膝裏に手をやって立ち上がった。

「ごご、ごめんなさい」
「気にしないで」

普段汗臭い十一番隊の中で暮らしているんだ。汗をかいた女の子一人の世話をするくらい、どうってことない。


「幸実ちゃん、戦うの好きだよね。楽しそうだった」
「はい、楽しかったです」
「よかったら、暇なときだけでもうちの練習場使うかい?君が来ればみんな喜ぶし、君も体を動かせるし」
「…邪魔になりませんか?その、斑目三席とか、更木隊長とか、女がいたら嫌がりませんか?」
「男漁りのために来てたら嫌がるだろうけど、強くなるために来るんだったら構わないと思うよ」

それにうちには草鹿副隊長がいるけど、一角もなんだかんだ仲良くやってるし。

「じゃあ次行く時は、恋次くんの邪魔するのはやめるので、特訓に混ぜてもらってもいいですか?」
「あぁ、いいよ。僕からもみんなに話しておくよ」
「ありがとうございます」

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